++ Wasabia ♧ japonica ++

平凡で退屈な日常の中にこそ、目を向けたい一瞬がある。
大事なことは、いつもその中にしかないのだから。

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◆ 2002年10月22日(火)
若さゆえ
会社で嫌なことが最近連続して起こるもんだから、
なんかもうかなり鬱な気分(^^;)

日記もすっかりご無沙汰。


うちの会社の若い子がお給料の値上げを要求してきた。
実際彼はよくやってくれてるし辞められると実際とてつもなく困る。
なので希望する金額と要求する条件をまとめて数字で
もってこいと言ったところ。

提示された金額は.....無謀というよりも冗談のような数字だった。
今の給料の倍の値段で、今までは会社の車を利用してきたけど、
自分の車を持ち込むという。

でもその数字は今まで何十年もプロとしてやってきている
バリバリの一人親方のプロさんが自分で営業して仕事を取り、
会社から何の補償もなしに車や道具を持込で受けで
仕事するような金額よりも、更にもひとつ高い金額。

しかも社会保障から有給休暇、皆勤手当てなどのお手当ても
今までどおり欲しいという。
ちなみに駐車場もガソリン代も会社で面倒を見て欲しいと。


こんな数字で今時「ただの見習いくん」を雇ってくれる会社が
バブルのときを除いて、存在するはずがない。



で、はっきり「むり」と答えたら、彼。
「だとしたら僕はもうこの会社には居られない。」
とはっきり言い切った。


うーん。人には最終目標があって、
それに会社が答えてあげられないわけだ。
将来的にも無理。
だったらもう会社としては痛いけど辞めるという彼を
引き止めるわけにはいかない。

「では今月いっぱいで。」という彼。
「いや、そんなに急いで結論を出さなくても。おまえも生活もあるし。
もっと余裕を見て考えてから。」
「僕としてはもうずっと前から考えてきたことだから。今月で。」
「....そっか、残念だな。でも何かあったら又相談してきてくれ。」
「はい。わがまま言ってすみません、お世話になりました。」


最後まで礼儀正しく真面目な彼。

2時間、夜の9時まで長々話し、
円満に退社の話をすませ、帰宅の途についた。途端。

彼から電話。

挨拶もなしにいきなり、まくしたてるように

「実際ならいくら出せるんですかっ?」
「へ?ちょっとまって。なに?」
「実際、僕の価値って会社はどれくらいなんですか?」
「いやもう家に帰ったから、明日また話そう。」

そう言っても興奮してなにやらまくし立ててる彼。

何とかなだめて電話を切った。

きっと彼は家に帰って女房に話したのだろう。
そしてきっとこっぴどく怒られたのだろう。
そりゃそうだ、私が同じ立場でも怒るよ。
今月いっぱいなんてあまりにも突然すぎるのだから。


しかし、無謀とも思える強気の金額を提示してきて、
これ以下なら働かないと言い切り、
交渉の余地もないと言わんばかりの勢いだったから、
てっきり他所からお声でも掛かっているのだろうと、
そう思ったのだが。

ならばうちみたいに安い賃金のところではなく、
もっと自分をイカセル仕事のあてがあるのなら、
そこに行くのも彼の将来のためなのか。

などと考えてもいたのだが。
違うのかもしれない....。

実際、彼の働きは、とても良い。
真面目で誠実で、しかもよく働く。
若手の中では技術的に一番上なのだ。

彼にしかできない仕事もいつしか増えてきた。
彼が居なくなると確かにとても困る。

思うにその強気の金額提示はどうやら彼には
会社的にも受け入れられる。
辞めるといえば引き止められるだろうと彼は思ったのではないか...。


しかし実際、いくら良く働くといえどもまだまだ見習いでしかない。
出来ない仕事のほうが断然多いのだ。
一人前というにはあまりにも程遠い。

それを何十年もプロとして仕事をしてきたバリバリの一人親方よりも
更に高い数字で、しかもそれ以下は考えられないというのならば
引きとめようがないではないか。

基準があまりにも違うような.....。




明日、彼と再度話し合いをすることになっているが。
どうしたものか、頭が痛い。
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