独白「文字式」
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2004年05月23日(日) |
ぽかぽかかまぼこ(すきやき企画会議編その5) |
(前回までのあらすじ) 本屋で長居をする3人。密かに学生時代を思い出したりして。
東海道線にゆられて、たどり着いたよ小田原へ。電車の中では、前に「商売道具」と記載した(って数ヶ月前のことなのですっかり忘れてしまった)詩集編集セット(といっても、詩を数編と級数表(文字の大きさがわかる升目が、透明のフィルムに印刷しているもの)をお二人に見ていただく。
ちなみに、なんで級数表を持ち歩いていたのかというと、どの詩集が見やすくて、どの文字の大きさが良いかを検討していた時期であり(ってまだそんな時期がつづいてたりするが)、詩集や本をひっぺがしては、級数表をあてて、「これは1ページに15行で文字ポイント11、うーむ、ちょっと読みにくいか?」なんてうんうん唸っていたのである。
小田原にたどり着いて、コートを確保する。といいつつも、外はぽかぽかと晴れていてコートなんてまったく要らない状況であったが。せっかくの小田原なので、象の城、小田原城へと向かう。(象と小田原城に関しては、名著「フロイト1/2」(白泉社文庫 川原泉)を読まれたし。ポエジーである。)
もうほんとにぽかぽかの良い天気で、桜も咲いてしまいそうなほどであった。そんなうららか散歩気分の我々を、小田原城も快くもてなしてくださったのか、ちょうどその日、画期的なイベントが行われていたのである。その名も、
「かまぼこ桜まつり」
かりにも詩書き=言葉ずきの3人である。そんな看板を目にして、我々平常心でいられようか。今こそかまぼこ一行詩を考えよう、なんて盛り上がりつつ、小田原城見学を行う。小田原城の歴史を学ぶにつれ、その歴史の重みと、眼下に展開されているであろう「かまぼこ桜まつり」の逞しさに、しみじみとせずにはおれない私であった。
小田原城を見学して、いよいよ「かまぼこ桜まつり」会場へ向かう。夕方5時近くにたどりついたため、祭りはほぼ終わりかけていたのだが、そのかまぼこっぷりは十分堪能することが出来た。いろいろなかまぼこは売っていたり、かまぼこソングは流れていたり、かまぼこ○ルパッチョは売っていたりとなかなか楽しい。(正直、かまぼこ○ルパッチョは、上にかかっていたマヨネーズっぽいものだけが、○ルパッチョだった気もしないわけではないが、祭りだから良いのである。)
ちょうど喉がからからだったため、なんか飲み物はないかなあ、と見回していたところ、ぱっと目にとまったのが、
「かまぼこジュース」
ではなく「産地直送牛乳直売」であった。3分の2が牛乳党員のため、さっそく、購入を決意する。紙パック売りもあったのだが、1Lを持ち帰るのは不愉快なため、紙コップ売りの牛乳をいただく。美味しかった(できれば低温殺菌牛乳が良かった)。あまりに美味しそうに飲んでいたせいだろうか、我々が立ち去ってから、お客さんが数人わらわらと集まってきたことは付記しておく。一日一膳一皿蒲鉾であった。
そんなこんなで、なんだか強烈な祭りだったのだが、帰り際の我々の目にとまったのは、テントの中で小さな切れ端を真剣に見つめ、匂いをかぎ、しかも口に含んでまでいる集団であった。なにかの品評かな、と思って近づいてみると、看板に書かれていたのは「ききかまぼこ大会」。しかもテレビの企画等ではなく、一般参加でノミネート制。
今後、あんなに真剣にかまぼこを食べる市民を見ることがあるであろうか。良いもん見たなあ、と楽しくなりつつ、祭りをあとにしたのであった。 (つづく)
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