くりくり♪

2004年12月15日(水) 柴山さん3

だから、自分の我も大事だけど、それを通すための積み重ねていく努力も必要だし、
自分の中にきちんとした指標がないと。自分の駄目さを認めることも必要だし。
音楽のことだけ考えればいいというものでもないし。
自分の持ってる引出しとかにもよるんだろうけどね。知らなすぎると思うよ、
いろいろ。よくなっているとか、なってないっていうような判断がつかなかったり。
そういう人って、あんまり聴いてないんだと思うんだよね、音楽ひとつにしても。
四六時中一緒にいるわけでないからわからないところはあるんだけど、そういう
(音楽をやっていない)時間っていうのが重要なんだよ。自分の職業が何なのか
っていうのが、やっぱり大事じゃない。ミュージシャンならミュージシャン
なりの生き方をやらないと。家にいても音楽を聴くべきだし。他人が2時間
聴くんなら、自分が遅れてると思ったら8時間聴かなきゃ間に合わないとか。
30過ぎたら吸収能力って下がるわけだから、もっと聴かなきゃいけない、とかさ。
そういうエネルギーってのはだんだんなくなってくるわけだし。

ランク付けとかするのは俺は嫌いだけど、でも、自分のバンドのメンバーには
言うよ、「おまえ、自分のこと物凄く上手いとでも思ってるんじゃないの?」
って。「でも、おまえより認められてる奴は沢山いるよ。上手いか下手かを
別にしたって」って。「周囲がわかってない」と思っててもダメなわけ。
それより素直に努力したほうがいいと思うよ。自分の足とお金を使ってね。
例えば、ライヴだって、ただで観に行っちゃったりすると、あんまり良くなかったり
するよね。というより、良かったときに感動できなかったり。ライヴってお金を
払って見るものなんだよね、基本的にね。だからCDもただで貰っちゃったら、
値打ちがないというか、それなりの感じしか入ってこない。
音楽じゃなくても、例えば美術館に行ってモジリアニの絵とかを見たとするじゃない。
「わあ、凄いな」と思うけど、それは本屋で写真見るのとは違うじゃない。
そういうことを蔑ろにしていると、人の噂で感動した気になっちゃったりするんだよ。
音楽を生業にしようと思うのなら、自分がその中に入り込んで、音楽漬けになって
普通だと思う。プロ野球の選手だったら、バット振ったりボール投げたりする
生活が普通でしょ。それをやらない人は結局ダメになっていくよ。
そういう生活を普通にして、それでようやく人前で見せられるものができるわけ
でしょ。1回ならなんとか受けても、持続してそうありつづける自信は自分には
ない。ただ、音楽はそういうふうにやっていかなくても、誤魔化せちゃったりも
するんだけど。聴き手も誤魔化されたままでいれば、よくなるわけないじゃない。

スペアのないものになろうって思ってほしいよね。上手いか下手いとかじゃなくて、
彼の代わりはいないって言われるようなものを目指してほしい。どこに行っても
使える、というようなんじゃなくてね。例えば俺はヴォーカリストで、俺の
代わりはないって、そういうほうがいいと思う。生き残っていくためには、
やはりそれがいちばん大事だよ。ワン・アンド・オンリーというかね。 そういうふうに
なりたいと思ってなれるわけでもなかろうけど、そういうふうになるべく努力
しないと。勉強したり、朝から晩まで考えないとダメだと思うよ。俺は、
寝ても覚めてもそのことしか考えない。それが基本だと思うよ。それでも、
それで成功するかどうかはわかんないんだよって。 何も考えないで成功なんて
するわけないじゃない。物すごく運がよければわかんないけど。それでも、
1枚当たっただけじゃしょうがないでしょ。例えば20歳くらいでばんと当たって
稼いだって、30になったら残ってないでしょ。それより、持続して続けていけるほうがいい。
あのね、俺基本的にコンテストとかサークルとか、そういうのが嫌いなんですよ。
大学のサークルで集まってっていうのも嫌いだし、もっと嫌いなのがコンテスト。
出て、評価してもらってっていうけど、最初から決まってるでしょ、ああいうの。
ほとんど決まってると思うよ。だから、宣伝のひとつでしょ。
それに踊らされるのって、騙されてカルト宗教に入ったり、ああいうのとあんまり
変わらないと思う。真ん中がないものへの疑問を持って調べようともしない。
そういうのって不謹慎だと思うよ。動機が不純だしさ。
もちろん、全部が全部そうだとも思わないけど、仕組みを知ろうともせずに、
よくわからないまま当て馬にされちゃったりさ。そんなの、あとで笑いものに
なるだけじゃない。そういう奴ほど、自分の無知を棚に上げてあとで騙されたとか
言うじゃない。バンドマンって、そういう人多いんだよ。レコード会社が悪いとか。
じゃあ、そんなとこと契約しなけりゃいいじゃないって、こっちは思うだけだよね。
自分がそういうところに踏み込んだだけだからね。 だから、今度のCDもメジャー
からの話はあったんですよ。でも、それ全部断ったから。いいか悪いかは
わからないけど、自分の判断で断ったの。自分で決めないと。

俺は商売上手じゃないから。駆け引きもできないし。気も小さいし、自信も
余りないんだけど、自分が持っているものをきちんと出さないとヤバいと
思ってる。今の音楽状況を考えると、自分の考えてることや思っていることを
ちゃんと言わないとって最近感じてて。

やっぱり、「これだ!」と思うことをやるのって難しいし度胸も要る。自分が
信じてやることほど度胸が必要なものってない。いくら(言葉を尽くして)
言っても通らないこともあるよ。どんどん状況がそうなってる部分もあるし。
だから、今は全部自分でやってる。仕事も俺が取るし、折衝も契約もやるし。
そういうやり方についていけないって思う奴もいるかもしれないけど。
そこまでするかどうかは別にしても、音楽家なんだから、営業的なことはともかく、
音楽に関してだけはいつ何を問われても返答できるだけのものを持ってないと
ダメだと思うよ。例えば陶器職人だったら、陶器についてはちゃんと言えるでしょ。
それができない奴の陶器なんて誰も買ってくれないと思うし。絵描きもそうだし。

普通そうなんだよ。たとえ「今日のライヴは最高!」って思っても、次の日には
「次はもっといいライヴをしないと」って思わないと。
そのためにはどうすればいいか、悪いところを削っていかなければって。
人の評価はまた別じゃないですか。でも、自分自身はそう考えていかないと
って思ってる。
見ている人にちゃんと届いているかどうかって。ステージから音が転げ落ちてたら、
いちばん後ろの人には届かないし。もっとかっこいいバンドが出てきたら、
そっちに行ってしまうでしょ、そういう人は。だから、ライヴ中は後ろこそが
気になる。
前のほうにおる客はメンバーのファンだったりするから、いつも来てくれてる。
それはとても有り難い。この人たちは大事な人たちだって思う。だからといって、
前だけ見てやってたら、そこで完結してしまう。それでも、おざなりにやってたら、
そういう人にまで見放されるよね。
そういう気構えって、どこのバンドにも必要だと思うよ。ただ、うちのバンドは
ちゃんと確認し合っているけど。とにかく、根拠のない自惚れほど、みっともない
ものはないし、危険だと思う。

******
キャリアとかスゴイ人たちなのにこの奢らなさは一体何なのだろう...と
ステージを観ていつも思ってたことが、裏付けされるインタビューでした。
いろんなとこを通ってきてこそのこのことばはやはり深いなぁと思います。
(これもほんの一部だし、質問部も省いてます。しかも無許可転載。)


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