un capodoglio d'avorio
2004年05月12日(水) |
'04 Rd.2 SPAIN / Jerez |
かなり久しぶりにMOTO-GPのレースを観た。世界で一番オートバイレースの人気が高い国、スペイン・へレスでのレース。緒戦南アフリカGPのあと、いきなり第2戦にしてコンチネンタル・サーカス(ヨーロッパラウンドのこと)が始まるというのも違和感。つまり、今年から、日本・鈴鹿ラウンドがカレンダーから消えたということ。
大事なのは、鈴鹿でレースをしないことじゃなく、事故の原因を徹底的に追求することなんじゃないの?臭いものにふたをする的事態収拾に終わらせないで欲しいな。
ともかく。
どしゃぶりの雨のなか、行われた第2戦。ことしのGPの最大のニュースはご存知の通り、常勝ヴァレンティーノ・ロッシのヤマハ移籍。最強マシンRC211Vを駆ってホンダで連覇を続けたロッシは、戦闘力の劣るヤマハのYZR-M1へと乗り換えることとなる。理由はおそらく、これまで通りの体勢だとロッシ自身がモチベーションを維持するのがむずかしくなってきたからだと言われている。つまり・・・
いつも楽勝じゃつまんないし、敵になりそうなヤツもおらんから、 自分のバイク、ちょっと遅いのんに乗り換えてみよーかなっ (ボクんこと、バイクがいいから勝てるんだとかぬかすアホもいるしね)
と、いうことらしい。どかの知る限り、その時点での最強のチャンピオンが敢えて弱いファクトリーに移籍するというケースはこれまで無かったと思う、GPにおいて。エディ・ローソンがイタリアのカジバに移籍したけど、あのときすでにローソンの時代は終わりっていて、レイニー帝国が形成されてたしね。というか、どかとしては、このロッシの移籍、あんまし嬉しくない、というか評価したくない。
モチベーションを維持するのがしんどくなってきた。それは分かる。分かるけど、それがだって、帝国に君臨する王者の孤独じゃん。ローソンだって、レイニーだって、ドゥーハンだって、もっと言えば、キングケニー(Sr.のほうね、もちろん)だって、連覇を続けながら戦っていたのは自分自身なんだよ。どかはワンサイドのレースになっちゃって、王者が逃げ切りを決めちゃったりすると「つまんねー」とか言っちゃうけど、それはそれで、やっぱり至高のパフォーマンスを見られることこそが幸せなのだから、ラップタイムアーティストの凄みというのは満喫することができるわけで。そしてその誰よりも速いラップを見ながら、すさまじい自分自身との戦いを想像することができるわけで。実際、ロッシは500ccで初めてチャンピオンを取って以降、ほぼ全てのレースにおいて、一番のライバルは自分自身という状況のなかで戦ってきて、それに勝利を収めてきて、そんなロッシをどかは、認めざるを得なかったわけで、やっぱり好きなライダーだったよ。
だからV5でもV10でも行けるところまで、RC211Vで行って欲しかったなあと思う。だって・・・、速さこそが、全て、でしょ?
君たちには分かるまい。 あらゆるものの中で最も美しいものはスピードであることが。 知力も体力も精神力も芸術性も狂気もまた全ての最高峰は スピードであるということが。 (野島伸司「スワンレイク」より)
勝つことよりもスピードを。こんな神に背を向けるようなおぞましい欲望に身を委ねることを、許される人間はほんの一握りなのだから、ロッシはそのほんの一握りのヒトなのだから、どかはだからちょっと、悔しい。きっとロッシはYZR-M1でもチャンピオン争いをするだろうけれど。
でも、一方でまた、どかが思うことは、きっと大ちゃんが今シーズンのグリッドにいたらば、きっとロッシはまだ、RC211Vに乗っているだろう。同じマシンでないと、大ちゃんには勝てないと、覚悟したに違いないから。
で、第2戦なんだけど・・・、ほんとは第2戦のレポートをちゃんと書こうと思ってたんだけど、雨だし、ヘビーウェットのレースはあんまし好きくないので、どうせ久しぶりにGPについて書くなら、たまっていた「思ったこと」を並べちゃおうと思ってこうなった。ちなみに緒戦を劇的な接戦でものにしたロッシ、さすがに雨の日のセッティングまでは詰め切れないらしく、本当に久しぶりに表彰台を逃す。
見所はビアッジとジベルナウの「ホンダエース争奪戦」。ドッグファイトは終盤までもつれ込む。雨が得意なジベルナウが堅実にラップタイムをキープし、ビアッジはやっぱりミスが出て2着。3着にロッシと入れ違いにホンダに復帰したバロス。改めて思ったのは、どかはイタリアントリオが好きだと言うこと。いまのGPのメンバーで、まず応援するのは、王子真矢クン。次にノリック。その次はイタリアントリオ(その序列はカピ>ビアッジ>ロッシ)。あとは応援しない。ビアッジはきょうはジベルナウに負けたけど、相変わらず綺麗なライディングフォームだなーと見とれました。それくらいかな。
全レースは無理かもだけど、今年はちゃんとGPも見ようと思う。なんでそう思ったかというと、先日、本屋で買った一冊の本が理由。講談社から出版された・・・
富樫ヨーコ・佐藤洋美(編)「加藤大治郎」
が、あまりに2004年5月のどかの胸をうったからである。
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