un capodoglio d'avorio
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2004年01月19日(月) 野島伸司「プライド」(第2話)

やっぱり、天下のフジが威信をかけているんだなと思うのは、
お金の遣い方が上手いなーということ。
別にキムタクやその他キャストに払うギャラ、という意味ではなく、
オープニングの映像その他本編のカメラのカットとか、
さりげにすごい凝ってるなと。
そういう細かい仕上げまで手を抜かないのは、どかは好きで、
月9というブランド戦略も、悪いことだけではないのねと思う。


第2話、素直に面白かった。
ちゃんと生活の葛藤にアイスホッケーの試合がかみ合って、
オーソドックスながらも、ドラマの醍醐味が詰まってたし。
野島サンの脚本で、こんなにストレートな味わい、ほんっとに久々。


でも、ちゃあんと、伏線は伏線で進行していく。
いつか奔流となって全てを押し流す凶暴とは、
少しずつ、山の谷間、岩の間にある細い水の線から始まるのだ。
野島サンの得意とする手法に、
メインのプロット以外にいくつかのサブプロットを並置するということがある。
ハルと亜樹の(ある意味数字ゲッターの)メインストーリーではない、
傍流のストーリーに、どかは野島サンのメッセージが、
かなり色濃く顕在化している気がする。
いや、第2話のメインストーリーもすごく面白かったし、
亜樹が最後に自分を取り戻してハルとの関係が良好に見えたとしても、
でもこれって、2人の関係が、より「ゲーム」として虚構の度合いが深まった。
と、思ったりするとそのキャッチーな演出の裏の「孤独」に鳥肌が立ったりする。


でも、どかは第2話のハイライトはあえて、
ハルと、ハルが尊敬していた安西コーチの未亡人・容子との会話であると思う。


 ハル ずっと想い続けるのって無理ですか
    ずっと、安西さんのことを想って生きていくってできないですか
    俺イヤなんですよ
    これから先、容子さんが誰かと恋愛するの
    誰にも心を許して欲しくないんです

 容子 厳しいのね、あなたの愛情って

 (野島伸司「プライド」第2話より)


ハルには別に容子サンへの慕情があるわけではない。
このセリフはただ、ハルの「古き良き女(=母性)」への切望があるだけだ。
ここに見えるのは具体的な関係からくる感情ではなく、
抽象的な概念への、だがだからこそ強烈な「信仰・祈願」がある。
ハルと亜樹のストーリーにはまだ、その強烈さはにじまない。
でも、野島サンは野島サンの内側に溢れる「テーマ」を、
ついに押しとどめることができず、こういったサブストーリーに発現させる。


あと、第2話で、ハルがどうしてこういった「祈願」を持つに至ったか、
なぜ自分では恋愛をゲームとして捉えることしかできなくなったのか。
という理由としての彼の過去のエピソードが語られる


また、亜樹の長セリフが2つあり、長セリはあまりに野島色が強くなるから、
敬遠されるかも、と思ってたのに、それぞれが良いセリフで嬉しかった。
うん、良かったなあ、あのセリフは。


 亜樹 私は、いつまでも自分のことを好きでいたいの
    強くて、偉くて、かわいい女でいたいの
    寂しさなんかに負けない、目を逸らさない
    それが私のプライドなの

 (同上)


この最後の部分だって、よくよく考えてみれば、
現代の「孤独の神髄」を語っていて、限りなく辛い内容なのだけれど。
でも、これを竹内結子は精いっぱい凛々しく、
明るい目でまっすぐ大和(坂口憲二)を見て話すから、
メッセージのニュアンスがまったく変わってくる。
野島サンの脚本は言葉が強い。
だからこそ、逆説的だけど、キャストの演技が重要。
竹内さん演じる亜樹は、もしかしたら何とかなるのかも。
と、このセリフのシーンでどかは思った。


第2話、良かった、すごく。
「腕相撲」は笑ったけど(笑うよね?)、でも良かった。


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