un capodoglio d'avorio
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2003年10月19日(日) G1秋華賞

牝馬3冠最後のレース、秋華賞。
2冠馬スティルインラブが史上2頭目となる偉業、3冠へと挑む。
対抗馬筆頭は秋華賞トライアルのローズSでスティルを下した、
「最強の血統」アドマイヤグルーヴである。
というか、1番人気は2冠馬をさしおいてアドグル@武豊。
これまでの桜花賞・オークスでも、常にアドグルは1番人気、
しかし常に、スティルの後塵を拝してきた。
それでもファンは、アドグルを1番人気へと推すのね。

さてどかはと言えば、先週のショックをまだ少し引きずりつつ、
チョコレート色の馬を観ると「あ」とファインの面影を思い出すありさま。
・・・じゃあ、来るなよ、府中に。
というツッコミを承知でやってきた東京競馬場、
今年最高の秋晴れ、空が、高いっ。


  あと少し、あと少しで、胸の内側に風を入れられる。


そんな祈りのような予感が澄んだ陽光に衝き動かされたのだと、思う。
着いてメインまでの数レース、細かくちょこちょこと買う。
先週の結果はショックであったけれども「馬券は単勝」が気持ちいい。
というあまりにシンプルなルールを見つけてしまったどかは、
全て、単勝で行くことにする。
東京10R神奈川新聞杯、獲った(8番スイートクラフィティ)。


  うん、もう少し、もう少しだ。


ちなみにきょうはメインスタンドやパドックの激流に、
とても自分の芯が持ちこたえられないと思ったので、
ずーっと馬場内(レースコースの内側)の芝生でボケボケしながらの観戦。
親子連れがピクニック風で佇み、風はひんやり心地よく、
光は温かく、ちょっと離れたコースを駆け抜ける馬は、
どこまでもキレイ、条件は整っていた。

東京11R府中牝馬ステークス、ここでまず事件が起きた。
去年のオークス馬・スマイルトゥモローの「逃げ」。
それがハンパな逃げではなく、大逃げも大逃げ、府中の杜が沸いた。
スタンドは騒然、馬場内も歓声と絶叫がこだまする。
有り得ない、3コーナー差し掛かって12馬身差。
4コーナー出口で20馬身差まで開く。


  おわーっ、おわーっ、行けーっ、逃げろーっ、行けーっ


と、馬群とは無関係に存在したスマイルにどかも舌足らず的絶叫。
結局、スマイルの脚は止まってしまいゴール手前、2頭に差されて3着。
でも、きょう、府中に足を運んだヒトは、みんなここで、夢を見た。
あのまま勝っていたら、伝説になったな、サイレンススズカ級の。


  あと、ほんの、少し・・・


そしてメインレース、京都11R秋華賞の発走時刻となる。
どかは、血統の夢ではなく、三冠の夢を見ることに決める。
すなわち単勝17番・スティルインラブ、1本で勝負。

・・・

最後の直線、外に持ち出したスティル@幸。
それをすぐ後ろからピッタリマークするアドグル@武豊。
先頭のマイネサマンサはまだ7馬身ほど先。
幸クンが追い始める、武サンはまだ我慢。
スティルがジリッと空間を歪め始め、詰まる差は5馬身、
ここで武サン、追い始める、アドグルの最後の「キレ」を生かす作戦だ。
対するスティルは「力」の競馬、詰めて3馬身、
猛追するアドグル、スティルまで1馬身、
この2頭の脚色が水際だっている、他の馬は、止まってしまった。


  いけスティルスティわあああっいけあああいけいけいけーっっ


と、馬場内からオーロラビジョンに向かってバカになって叫ぶ舌足らずどか。
スティル、先頭!
アドグル、さらに詰めて、3/4馬身差、ゴールまで70m、さすがの「キレ」!
しかし、スティルの「力」は最後にもう一度、爆発、
ゴールラインまでの残り、アドグルは詰めることが出来ずそのままゴール。
これが、牝馬史上2頭目の偉業が達成された瞬間だった。
そして、スッ・・・と、かすかに風が胸に入ってくるの感じる。
まぶたを照らす光の温かさを感じて。

ファインのこれからの動向を思うと、胸がまた塞がってしまいそう。
先週のレースの直線を思い出すと、泣けてきそうだけれど、
いまは、少し、この3冠馬にご助力を請おうと、素直に思った。


おつかれさま、スマイルトゥモロー、惜しかったね。

そして。

本当に良い時代に競馬を観られたなと実感しました、
スティルインラブ、3冠達成、おめでとう!



↑馬場内、秋華賞のリプレイをオーロラビジョンで観る人々
 みんな馬券の如何を問わずに微笑んでいたのが、良かった


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