un capodoglio d'avorio
牝馬3冠最後のレース、秋華賞。 2冠馬スティルインラブが史上2頭目となる偉業、3冠へと挑む。 対抗馬筆頭は秋華賞トライアルのローズSでスティルを下した、 「最強の血統」アドマイヤグルーヴである。 というか、1番人気は2冠馬をさしおいてアドグル@武豊。 これまでの桜花賞・オークスでも、常にアドグルは1番人気、 しかし常に、スティルの後塵を拝してきた。 それでもファンは、アドグルを1番人気へと推すのね。
さてどかはと言えば、先週のショックをまだ少し引きずりつつ、 チョコレート色の馬を観ると「あ」とファインの面影を思い出すありさま。 ・・・じゃあ、来るなよ、府中に。 というツッコミを承知でやってきた東京競馬場、 今年最高の秋晴れ、空が、高いっ。
あと少し、あと少しで、胸の内側に風を入れられる。
そんな祈りのような予感が澄んだ陽光に衝き動かされたのだと、思う。 着いてメインまでの数レース、細かくちょこちょこと買う。 先週の結果はショックであったけれども「馬券は単勝」が気持ちいい。 というあまりにシンプルなルールを見つけてしまったどかは、 全て、単勝で行くことにする。 東京10R神奈川新聞杯、獲った(8番スイートクラフィティ)。
うん、もう少し、もう少しだ。
ちなみにきょうはメインスタンドやパドックの激流に、 とても自分の芯が持ちこたえられないと思ったので、 ずーっと馬場内(レースコースの内側)の芝生でボケボケしながらの観戦。 親子連れがピクニック風で佇み、風はひんやり心地よく、 光は温かく、ちょっと離れたコースを駆け抜ける馬は、 どこまでもキレイ、条件は整っていた。
東京11R府中牝馬ステークス、ここでまず事件が起きた。 去年のオークス馬・スマイルトゥモローの「逃げ」。 それがハンパな逃げではなく、大逃げも大逃げ、府中の杜が沸いた。 スタンドは騒然、馬場内も歓声と絶叫がこだまする。 有り得ない、3コーナー差し掛かって12馬身差。 4コーナー出口で20馬身差まで開く。
おわーっ、おわーっ、行けーっ、逃げろーっ、行けーっ
と、馬群とは無関係に存在したスマイルにどかも舌足らず的絶叫。 結局、スマイルの脚は止まってしまいゴール手前、2頭に差されて3着。 でも、きょう、府中に足を運んだヒトは、みんなここで、夢を見た。 あのまま勝っていたら、伝説になったな、サイレンススズカ級の。
あと、ほんの、少し・・・
そしてメインレース、京都11R秋華賞の発走時刻となる。 どかは、血統の夢ではなく、三冠の夢を見ることに決める。 すなわち単勝17番・スティルインラブ、1本で勝負。
・・・
最後の直線、外に持ち出したスティル@幸。 それをすぐ後ろからピッタリマークするアドグル@武豊。 先頭のマイネサマンサはまだ7馬身ほど先。 幸クンが追い始める、武サンはまだ我慢。 スティルがジリッと空間を歪め始め、詰まる差は5馬身、 ここで武サン、追い始める、アドグルの最後の「キレ」を生かす作戦だ。 対するスティルは「力」の競馬、詰めて3馬身、 猛追するアドグル、スティルまで1馬身、 この2頭の脚色が水際だっている、他の馬は、止まってしまった。
いけスティルスティわあああっいけあああいけいけいけーっっ
と、馬場内からオーロラビジョンに向かってバカになって叫ぶ舌足らずどか。 スティル、先頭! アドグル、さらに詰めて、3/4馬身差、ゴールまで70m、さすがの「キレ」! しかし、スティルの「力」は最後にもう一度、爆発、 ゴールラインまでの残り、アドグルは詰めることが出来ずそのままゴール。 これが、牝馬史上2頭目の偉業が達成された瞬間だった。 そして、スッ・・・と、かすかに風が胸に入ってくるの感じる。 まぶたを照らす光の温かさを感じて。
ファインのこれからの動向を思うと、胸がまた塞がってしまいそう。 先週のレースの直線を思い出すと、泣けてきそうだけれど、 いまは、少し、この3冠馬にご助力を請おうと、素直に思った。
おつかれさま、スマイルトゥモロー、惜しかったね。
そして。
本当に良い時代に競馬を観られたなと実感しました、 スティルインラブ、3冠達成、おめでとう!
↑馬場内、秋華賞のリプレイをオーロラビジョンで観る人々 みんな馬券の如何を問わずに微笑んでいたのが、良かった
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