un capodoglio d'avorio
2003年06月30日(月) |
THE HIGH-LOWS "夏なんだな" |
ハイロウズ、半年ぶりのニューシングル発売。 アクエリアスの宣伝でかかってる、あの曲。 次のニューアルバムがいつ出るか、まだ発表されてないいま、 やはり、買わずにはおられないどか。
かっこいいんだ、これがまた。
やはり、何のかんの言って、シロップだの、ナンバガだの、 レディへだの、コラルだの、リバティーンズだの言っても、 ヒロトのこの歌い出し一発で、全て吹き飛んじゃうもの。 反則だけどなー、反則だけどでもー・
ロックンロールにレフェリーはいない。 だから、誰も、止められないんだな、あの声を。
3曲入ってて、全部、マーシー作。 2曲目の「プール帰り」はサンシンの音色とかがフィーチャーされた、 スローナンバーで、初っぱなの
♪プールの帰り アイスクリーム(ハイロウズ「プール帰り」)
という掟破りの体言止めの連鎖にヤられる。 3曲目はライヴではおなじみの「ジェリーロール」、 ほんっとうに久しぶりのマーシーボーカルナンバー。 ヒロトのハーモニカが格好良すぎ、グイングイングルーヴする。
でも、やはりどか的にはタイトルにもなってる、 「夏なんだな」が好きかな。 よくよく読んでいくと、ちょっと隠微でエッチな歌詞なんだけど、 ヒロトが歌うと、ぜんぜん隠微な感じしないでからっと明るくて、 そのギャップが、またグゥーッとくる。 具象的な世界を歌いつつ、その奥に別の次元を織り込ませるのは、 ヒロトの楽曲でもおなじみの、ハイロウズナンバーの特徴。 世のヒトはハイロウズのことを、 テンションだけ高くて歌詞が薄い「ロックバカ」とか見てるようだけど、 ちゃんと、歌を聴いてない証拠だ、ぜんぜんヒロトの声が、歌詞が、 届いてないんだな、鼓膜に、頭に、胸に。
♪熱帯夜をくぐり抜けて いろんな無に顔を貸して 自分でいるよりほかなく 蚊に刺されている(ハイロウズ「夏なんだな」)
このパラだけで起承転結、オチまでつけてるのは、驚愕だ。 へんに抽象的な響きを並べて、言葉の自動性に酔いながら、 「絶望ごっこ」をしているオコチャマバンドが氾濫しているいま、 ハイロウズのこのオトナな言葉へのセンスは、明らかにオリジナルだ。 彼らはとてもシャイで恥ずかしがり屋だから、 あえてオトナ然とした態度も演奏も歌い方もしないのが、 また、カッコイイ。
ズドーンと迫力ある鉄槌が降ってくるようなイメージ、 シロップがS&W、ナンバガがワルサーのかっこよさだとすれば、 ハイロウズはナパーム弾な感じ、デリンジャー銃でもいいけど。 シロップやナンバガに無いものをハイロウズは明らかに持ってる。 それはかつて、一世を風靡した、時代を制覇したという経験。 そのイイ面でも悪い面でも、経験。
経験を踏まえた疾走こそが、この世の中で一番凛々しく切ない。 だれがなんといっても、そうなんだ。
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