un capodoglio d'avorio
普通で平凡なこと。 なんか怒りも度を超すと、切なくなるのね。
4月上旬、イラク中部、ザファラニヤにある、 「イラク原子力エネルギー委員会」の原子力関連施設から、 あるドラム缶が近隣住民によって「略奪」を受けたらしい。 当時、その地域は米軍によって制圧されていたことは確かで。 そのドラム缶には「イエローケーキ」が入っていた。
<イエローケーキ> 天然のウラン鉱石を製錬してつくる酸化ウランの粉末。 酸化ウランの純度を天然鉱石の1%から40〜80%に高めてある。 放射性物質ウラン235の割合は、0.7%。 黄色の粉末状をしていることから、この名で呼ばれる。
兵器として使われた劣化ウラン弾のウラン235の割合ですら、0.2%。 イエローケーキは遙かに放射能レベルが高い。 地域住民はイエローケーキの容器のドラム缶を、 飲料水や食用油の容器として数週間にわたって家庭で使っていた。 「略奪」の際に飛散した精錬ウランを大量に吸い込んだ者が多数いる他、 ドラム缶に残っていた「黄色い粉末」を洗う前に舐めていた者もいる (新聞に「苦くて不味かった」と娘のコメントが載っていた、 というか、このコメントをとった記者の常識も、有り得ない)。 もちろん、洗ったくらいで放射能が落ちるはずもない。
・・・
どう考えてもこれは「良い、悪い」の問題である。 悪いのは誰だ? 戦争中、水道が行き渡っていない地域の住民が、 自宅の飲料水の貯水用にと、ドラム缶を「略奪した」ことが悪かったのか?
さっきテレビであるイラク人判事が、 アメリカ系ネットのインタビューに答えてこう言った。 「前体制の時には圧力がかかって正しい裁判ができない時もあった」。
例えばこの二つのニュースは、つりあいがとれると言うのだろうか。 「正しいことをするにはある程度の犠牲はやむを得ない」と、 ラムズフェルドはいみじくも語った。 ある程度とは、ラムズフェルド自身が死んだ後、 何世代にも渡って残る後遺症のことを指すのだろうか。 「結局あの国は、広島や長崎のころと何も変わっていない」 そういう批判に対する言葉を、ブッシュは持っているのだろうか。
・・・
その施設が「略奪」を受けている最中、 施設の前に止まっていた戦車の上で、アメリカ人兵士はボケラーッと ひなたぼっこをしていたらしい。 その兵士はまさにエノラゲイの機中にあって、 スイッチを押したも同然だ。
|