un capodoglio d'avorio
passatol'indicefuturo


2003年04月20日(日) G1皐月賞

朝、目が覚める、昨日よりは身体が軽い。
でもまだ耳の奥の方がジンジン鳴ってる感じ。
iBookクンを開いてニュースを確認、確認、かくに・・・

「加藤大治郎、死去」

・・・

一瞬、何のことか、わからなかった。
何を意味しているのだろう、この文字の連なりは。
外を見た、灰色の日曜日、雨が降りそう。

多分、意識よりも先に身体が反応したんだと思う、
「足、止めちゃダメだ」って。

いつも通りリストバンドを着けて、民舞の練習に向かって、
その後、そのまま府中に行く。
武蔵野線のなか、流れに飲み込まれそうになるのを、なんとかこらえる。

さんさの太鼓を叩いている時とか、
「勝馬」にペンでチェックを入れていく時とか。
そんな時間は、なんとなく楽だった。
他の要素を完全に排除して集中することができるから。
原色の混ざりっけのない時間だから。
でも原色がときとして嘘っぽいように・・・
きっと、あとで、ツケがまわってくる、わかってる、わかってる。

去年のスプリンターズS
あのときのビリーヴの馬券は特別だった。
「絶対、勝つ、勝たなくちゃいけない」と自分で勝手に決めた馬券だった。
そして、今回も、このリストバンドにかけて、
「絶対に、勝つ、勝たなくちゃいけない」。

安藤勝己を信じて、その後で武豊を信じる。
才能のきらめきこそが、ネガティブスパイラルを断つ唯一の刃なのだから。
11番ザッツザプレンティ・鞍上安藤勝己。

馬単
11 → 3(ネオユニヴァース)
11 → 7(スズノマーチ)
11 → 8(テイエムリキサン)
11 → 12(サイレントディール・武豊)

3連複
(忘れた)

発走。
自室のテレビで見る。
一着3番ネオユニヴァース、二着6番サクラプレジデント。
・・・六着12番サイレントディール、八着11番ザッツザプレンティ。

・・・

ゲートが開いた直後に、武豊のサイレントディールがぐらついて、
隣のザッツザプレンティにぶつかった。
それでザッツがかかってしまったきらいがある。
レーシングアクシデント、それで武豊を責めることはできない。
才能同志の衝突による、崩壊。

レーシングアクシデント。
大チャンもそれに巻き込まれたのだろうか。
単独で転ぶのは考えにくい。

・・・

だんだん、流れが部屋全体を包んでしまって、逃げられなくなって。

精いっぱい、言葉を探して。
これからの「欠落」はとても怖くて考えられない。

私は、大チャンに向かって「生きろ」と言った。
それで大チャンは確かに、生きるために精いっぱい力を振り絞ってくれた。
だから、私は、この14日間の彼のICUでの必死の闘争に、
謝辞を述べなくてはならない。

大チャンという計り知れない才能がこれまでに記した軌跡への感謝でもなく、
これから大チャンという存在が欠落した世界への恐怖でもなく、
そんなものたちは、まだ、とてもどかの乏しい想像力では、
受け止められないから、だから。

だから。
この二週間、必死に頑張ってくれたこと、ありがとう。
みんなの激励のメール、メッセージを背負ってくれたこと、
ほんとうに、ほんとうに、ありがとう。

・・・気づいたらリストバンド、いつもと逆さだった。
矢印が空を向いてる。

流れのなかに溺れながら、その矢印を思った。


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