un capodoglio d'avorio
2002年11月28日(木) |
THE HIGH-LOWS "ANGEL BEETLE" |
ハイロウズ7つ目のアルバム「ANGEL BEETLE」傑作っす。
↑これっす・・・
これまでの6つのアルバムの中でも一番スローなイメージ、 ハイロウズファンの間でも「駄作」だと言い切る人がいるのは、 初めてとちゃうかなあ、でもね、好き、 どかは前作「TIKI-POTO」こそ、結構危なかった気がするな。 そりゃあ前作には「14才」や「迷路」「フルコート」など、 圧倒的な名曲が含まれていたけれどアルバムとして見たら今作はとても良いの。 以下、シングルカットされてない曲で特にすごいのを抽出して。
2 ななの少し上に 目立たないかも知れないけれど大好き、大好き、大好きなヒロトの曲! 抽象的で感覚的なイメージの言葉の連なりはまるで現代詩、 でもそこには難解な足かせ的思索はなく、あくまで爽快なロックンロール。 ライブでマーシーとヒロトが近寄って「ワンツースリーフォー」って 息を合わせて歌い出すのが、ほんっとにかわいい、かっこいい。
4 アメリカ魂 音楽雑誌などではライターがまず取り上げる一曲、マーシー作。 スプリングスティーンのパロディでかつ、アメリカの帝国主義を皮肉ってる。 でもライブでは、政治的なアジテーションとしてこの曲は決して鳴らなくて、 ただアメリカを肴に、バカ盛り上がりして・・・って感じ。 その詞とライブの二律背反こそにリアリティがある気がする、ってのは深読み? でも演奏は抜群にカッコイイし、名曲。
5 毛虫 ヒロト作、これ、ぜったい惣一郎が気に入るだろうなと思った。 うぉうぉうぉう♪のコーラスがめちゃくちゃかわいいっ! かなりエフェクトがかかった、でも明るくてメロウな不思議な曲、 かわいくてかわいくて仕方ないけどでもそこはかとなくペーソスも。 麻薬的にあのコーラスは継続的な思索を分断してしまう、気づくと口ずさんじゃう。
7 マミー どかをライブで圧倒した、マーシーのスローナンバー。 これも抽象的な、でもイメージが圧倒的に広がる言葉が続く詞じゃなくて、詩みたい。 生と死の間のリアリティを、ペーソスとユーモアを交えて。 ライブではもしかしたらなかなかやってくんないかもしれないけど、 でも、是非、ライブでこそ聴きたい静かな名曲。
9 Born To Be Pooh ヒロト作、スローでひたすらかわいい、もう笑ってしまうくらい。 Pooh、というのはもちろん「無職な人」ではなくハチミツが好きな彼のこと。 でもちゃあんと真面目に、ヒロトのエッセンスが入ってるロックに違いないっす。
11 つき指 マーシー作、すごいグルーブ感で盛り上がっていくガレージロック、 でも詞は深くて深くて。 全部断片的なイメージを喚起する単語なんだけど、ちゃんと考えると分かる。 これって戦時中、徴兵にとられた「プロ野球選手」の歌だ、 それこそ「昭和18年」に「ラバウル」で亡くなった方の。 んんー、それを想像力のなかでリアリティを生成させる曲作り、 怖いくらい冴えてると思う、マーシー・・・。
13 ecstasy 美しいサビのコーラスと、これもイメージの広がり方が秀逸な歌詞のヒロト作。 「ななの少し上」とこの曲は、ハイロウズ・ヒロトの作詞術の到達点を示してるな。 才能ということばは軽々しく使うべきじゃないと思うけど、でも、これが才能だ。
・・・以上、ともかく「捨て曲」がいっさいなく、平均点がすさまじく高い14曲。 演奏のスピードが落ちてもテンションが落ちない、かつ、 最近ちまたのゆるーい「私小説ロック」なんかまとめてポイッな、 詩情と勇敢と哀切と決意、完成度の高さ。 怖いよ、ヒロト&マーシー・・・ こんなすごいん作っちゃったら、畳の上では死ねないよ、怖いくらいやわ。
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