un capodoglio d'avorio
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2002年11月19日(火) RUPプロデュース 「透明人間の蒸気」<2>

役者はやはり良かった、いろいろ議論を呼ぶキャスティングだった、筧以外も。

例えばスタジオライフ出身の青木隆敏は、初演時に野田が演じたサイババ先生に。
「ザ・耽美」の代名詞的な美少年集団スタジオライフと野田のスピード、
そりゃあ摩擦が起きるのは当たり前で、
その摩擦についてプロパー野田マニアは厳しく評価するだろう。
でもどかは確かにベストだとは思わなかったけれどあの摩擦、
美少年があくせくもがく様は美しくて好きだな、とても(おやじか?)。

そして北区からの刺客、武田義晴と赤塚篤紀の二人。
武田さんは抜擢されてのらくろ二等兵役、代名詞のハスキーボイスが炸裂し、
安定感抜群だなあ、でもこの人「長嶋茂雄殺人事件」でのキレた演技も良かった。
目立たないけれど、バイプレイヤーとしてはかなり高いレベルにあるなあ。
そして元木村伝兵衛部長刑事の赤塚くん、こんかい下っ端の「その他大勢」。
ああ、伝兵衛までやった男が一歩外に出れば「その他大勢」。
これが現実なのなー、「北区」の。
でも赤塚くん「その他大勢」の中では一番たくさんセリフもらってたし、
一人だけつか節だったけど、さほど浮いてなかったしどかは嬉しかったよ。
何よりももらった役をまっとうに身体を張って臨んでいるところに、
数少ないセリフをつか節で朗々と青山劇場に響かせたのが、
快感やった、ごっつい(マニアだなあ私)。
このくらいのバランスで「新・飛龍伝」もやれば良かったのに、あっくん。

さて、小西真奈美だ、「北区」の卒業生。
三年前の「蒲田行進曲@青山劇場」以来、舞台で久々に観たけど、
あのころよりもぐぅんとパワーアップしていた、力強く、文字そのままに。
現「北区」のヒロイン渋谷亜希は論外、最低だと思うけれど、
前「北区」ヒロインの内田有紀と比べても全然小西が良いと思う。
弱々しい傷がつくのを恐れている薄っぺらい「イノセント」ではなく、
小西の「イノセント」は身体を張って前につんのめって、それで痛い思いをしても、
涙をこらえてまた裸足で駆け出していくそんな真っ白さだ、
まさに今回の盲目のヘレン・ケラ役はふさわしい、ベストマッチだと思う。
野田子飼いの姫の(ごめんどかも好きだけど)深津絵里と比べても、
小西の前つんのめってます的テンションは買えると思うすごく。
盲目の少女は足の裏で世界を感じる、その感覚だけを信じる。
そして唯一盲目のその瞳に映ることができた肌を失ったアキラ(筧)に対して、

  言葉は信じられないよ!
  言葉は神様と違って、目に見えないもの!

という叫びは、その響かせ方は本当に秀逸だった
(実はこのシーンの筧の受けの演技はもっとすごかったのだが)。
この終盤の決めセリフをあの音色で響かせるためだけに、
彼女のここまでの演技はあったのだ、あの体当たりの無垢なテンションは。
さらにクライマックスに向けて小西の長ゼリがたたみかけるように続く、
まるでつか芝居のような演出だ。
破綻をきたした「無垢」が放つ稲妻が劇場を満たしていく。
ここだけは今回の演出家・岡村さんを評価したい、でもここだけだったけど。
小西はたった一人で筧の存在感に立ち向かった。
青木も頑張ってもがいたけど早々に振り切られてしまい、
他のキャストは端からついていけず、でも小西だけだ。
小西があのハイテンション(野田風ではなくつか風)で駆け抜けたおかげで、
80年代の小劇場ブームを収束させた、時代を背負った才能、
筧利夫がかろうじて、この世に繋ぎ止められていたのだ。

そして。

そして、筧が舞台に帰ってきた(続く)。


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