un capodoglio d'avorio
東京11レースの後はもうすぐ、天皇賞の発走時刻。 オーロラビジョンに群集は注視する。
パー、パパパー、パパパー、ジャジャジャジャーン、パパパパー、ジャジャジャジャーン。 とファンファーレが鳴る! どかの周りで心ある男達がそれに合わせて競馬新聞を叩く! ざわめきがいっそう大きくなる・・・
発走!
ジャングルポケットから流して、マンハッタンカフェとナリタトップロードに流したどかは、 もうガチガチの本命狙い、ということになってしまうらしい。 でもそのジャングル・タケ様、出遅れる。 馬群のまん中より後ろに留まる。 「あかんやん、何でなんで?」 と思わず口走るも、周りの怒号歓声悲鳴に掻き消される。 実況の声がだんだん加速度をつけて速くなって高くなって、 府中の群集はオーロラビジョンの向こう、遥か西の空のした、京都の淀に思いを飛ばす・・ まだジャングルは上がってこない、もう最終コーナーが近い、 天皇賞は3200メートルと長丁場なのに、おうまさんは本当に一生懸命走るのであっという間だ。 最終コーナーの映像、ジャングルがポケットに入ったみたい、まん中より後ろで動けなそう、 心臓がキリキリしてきた。 鼓動が速くなる、時間が伸びる、空間がきしむ、感情が溶ける、群集は叫ぶ、馬は走る。 最後の直線、ジャングルはまだ来ない! トップはマンハッタンカフェ、その後は少し距離が空いてる、 2番手は分からないけれど、まだジャングルは6番手くらい・・・ 「エビナー!」「トップロードー!」「踏んばれ、バカッ」などなどの怒号の中で、 どかどかは「ああもう駄目だあ」と呟いた刹那、ジャングルが動きだした! 直線は後、半分しかない、武豊、叩く叩く、ジャングル、少しずつ少しずつ、大外から詰める! 3番手まで浮上、トップはマンハッタン、逃げる逃げる。 2番手だったトップロードとジャングルが競る、もう少しでゴールライン、ジャングル、伸びる! 「ああああああああああああ」 「わあああああああああああ」 「うおおおおおおおおおおお」 周りがこんな風に喚いていた気がして、自分はそんなふうに怒鳴っていなかったと思うけれど、 ぽかんと口をアホみたく開けていたのは確かでもう訳が分からず「ユタカーッ」て祈ってた気がする。 トップロードを捉えた、ゴールラインを跨ぐ!
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1着 マンハッタンカフェ 2着 ジャングルポケット 3着 ナリタトップロード
結果的にはガチガチの大本命の三頭が競って落ち着くところに落ち着いたということらしい。 でも、でも、どかはもう、心が飽和してて、勝馬券を握りしめて、ぼうっと立ち尽くしてた。
うーん、競馬場は凄い。 テーマパークとしてとても優秀な施設だわ、これわ。 ネズミーランドに行くか、オウマさんランドに行くか、迷ったら、 千葉のネズミと遊ぶのに必要な金額を上限に定めた上で、 オウマさんと遊ぶのがいいかも知んない。 そして、オウマさんランドの最重要ポイントはお金の多寡ではなく、 その場にいる群集の中で、あのテンションのジェットコースターに身を委ねること。 「ハイロウズのライブを誰でも一度は体験すべきだ理論」の支持者として、 この体験の重要性はとても腑に落ちる。
うーん、競馬場は凄い。 どかどかはとても臆病なので、モノポリーのお金が大きく動かせても、馬券売り場では畏縮してしまう。 ので、自分で、少し安心、大丈夫、身は持ち崩さない、、、、よね (あ、今回ほんの少し儲けました、いくらかは秘密です)?
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