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2004年02月28日(土) Simple Story <秀人編>

西日が差したPM5:30。
スクランブル交差点で、仕事帰りの男女が疲れた顔をして信号が青に切り替わる時を待っている。
長く伸びた影は幾重にも重なって大きな影と化した。そこに皆が溜息を漏らすと一瞬大きくなり、小さくなる。
青に変わると一斉に影はバラバラになり、思い思いの方向へと姿を消す。

秀人は真っ直ぐ家に帰ろうと駅へと向かう。その信号の途中で
「アレッ」
と思った。

「芽美じゃないか!!!」
ある女を見て思わず引き止めた。
が、女は怪訝そうな顔をして
「誰ですか?」
と問いなおす。
「芽美だろ?違うの?」
西日が女の右側を差している。
―人違いか?―
と思ったが芽美に間違いない、秀人は確信した。
が、女は
「人違いです」
とその場を去っていった。
青信号が点滅している。急いで横断歩道を渡りきる。
それから後ろを振り返ったが、女の姿は見当たらない。

―芽美だと思ったのにな―
溜息を付いて改札口へと消えていった。


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