日常があまりにも俯いているから、雨の音を聞いてはどこかへ行ってしまうそうな自分を必死で止めようとするもう一人の自分。 「引き金さえ引いてしまえば日常からはみ出せる」
幻覚を見たかったからと言う理由で始めたクスリは、いつからか安定を求めていた世界を覆してしまった。部屋には、いくつもの「目」が住み着くようになった。 これを幻覚と認識してながら、どっちの世界にいるのか全く分からなくなってしまう自分と対峙して、急いでシャワーに入る。 とても熱いシャワーを。全身を麻痺させるくらいの温度で。それからゆっくりと手首にカミソリをあてる。血と水が排水溝の近くで混ざり合って一緒に流れていく、薄い赤色をした水とも血とも呼べない液体が消えていく。 「綺麗な色だ」 と落ち着くとそのままゆっくり眠りにつく。眠りにつける。
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