迷っている。 右の扉を開くのか、左の扉を開くのか。 左右の扉のちょうど真中に立って、目を瞑って心を落ち着かせて 「今」という時間を過ごしている。 考えている。 「どちらの扉が正しいのか」と。悩めば悩むほど追い込まれる感じがして、 身動きすらまともに取れなくなる。 目の前には霧がかかり、向こう側は全く見えない。 人生において必ず誰しも分岐点が訪れる。 しかしいつまでも待ってはくれない。 時間という制限された自由を私たちはいつも楽しんだり、苦しんだりしている。 そして今、私は右に行くべきか左に行くべきか苦しんでいる。 後悔する。 「あの時もしも違う扉を選んでいたら…」と。 人生において必ず誰しも後悔する時が訪れる。 時間の流れに逆らうことのできない人間の悲しい性だ。 そして人生という長い旅を全うする寸前に私はこう思うのだろう。 「きっとどちらの扉も正しかったのだ」と。 その瞬間、すべての後悔が洗い流され時間という航海も終える。
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