ハルが帰ったのは、朝。
私は、具合も良くなって、仕事へ行こうと電話をした。
でも、今日はもう休んで、と言われて家でおとなしく。
夕方、仕事が終わったハルから電話が来た。
いつも通りだった。
私は、その「いつも通り」がやっぱりおかしいと思った。
だから。
「早く、何でも話せる彼女を探さなきゃね。そのためにも、別れた彼女になんか電話している暇があったら、出掛けなきゃ」と言った。
ハルは無言になって。
しばらく黙ってから。
「りりかといるとなんであんなに落ち着くんだろう」
と言った。
一緒に寝なくても。
手を繋がないでも。
抱き締め合わなくても。
一緒にいるんだって言うだけで。
「私は、栄に惹かれてる」
「嘘だね」
「ホントに」
「嘘だよ」
嘘じゃない。
本当の話。
|