ハルは夕方前にやって来て。
病院へ行こうと言ってくれたけど。
私も昨日よりぜんぜん具合が良かったし。
大丈夫だから、と言い張り。
なら、家でゆっくりしようと言うことになった。
私が具合が悪かったから。
子供たちは朝から元旦那が遊びに連れて行った。
明日の学校前に送って来てくれると言ってた。
だから子供たちはハルが来ていることは知らないまま。
ハルが夕飯を買ってきてくれて。
一緒に食べたりして。
テレビ見たり、ビデオ見たりして、過ごした。
夜8時くらいに。
栄から電話が来て。
「夕飯食べたの?何か買って下まで持って行こうか?」
なんて内容で。
ハルが来ている、とは言えず。
「大丈夫だよ」とだけ返す。
「明日は俺が出るから、あなた休みなよ」
「え!大丈夫だよ、出るよ!」
だって栄は私の代わりに明日出ちゃったら、休みがなくなっちゃう。
それでも栄は「大丈夫だよー」を連発した。
結局押される形になって、お願いして、明日は急遽休みに。
隣で電話を聞いていたハルが。
「結構、いいやつだったんだね。そういう人がいるって言うのは、ちょっと安心」
って言った。
私が黙っていたら。
「きっとりりかも好きになるよ。てか、もう好きになっているんじゃない?」
なんて言う。
「どうなのかなぁ。でも、すごく優しい人だよ」
って返した。
咳をすれば背中をさすってくれるし。
「ちょっと熱いなぁ」と言いながら、熱冷シートを貼ってくれるし。
うとうとし出すと、頭を撫でながら背中をさすってくれるし。
いつも通りで。
いつもと一緒なんだけど。
なんだか。
しっくり来なかった。
来る前までは、あんなに嬉しかったのに。
念願の、大好きな人が一緒にいるって言う状態なのに。
会ってみたら、変な溝があるって事が、分かっちゃった。
もう、前みたいには、なれないんだなぁって。
分かっちゃった。
だから。
わざわざ私のベッドの下にハル用の布団を敷いて。
ハルも何も言わず、そこに寝て。
手を繋いで寝るとか、そう言うのもなくなって。
だから。
夜遅くに、ハルのお父さんから。
「明日昼過ぎから仕事」って言う電話が来て、朝帰らなきゃいけないってなった時。
正直ホッとした。
何でホッとしたのかって聞かれたら、うまく言えないんだけど。
明け方。
一人で起きてた。
なんとなく、ハルの寝顔を見てた。
なんとなく、悲しかった。
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