二人して休みなんて言うレアな日を活用しなきゃじゃん。
栄はそう言った。
朝は小雨が降っていたのに、午後はこんなに良いお天気だった。
あちこち走って、たまに車を停めて食事したり、コンビニへ行ったり。
栄は散々引き止められながらも、6月いっぱいで辞める事になった。
みんなに好かれていた栄だから、送別会は盛大になるんだろうな。
元奥さんに「幸せそうだけど彼女でも出来たの?」と言われたらしい。
「大好きな人なら出来た」と言ったら「今度こそ大事にしなきゃね」と言われた、なんて笑う。
「あなたに好きになってもらえるような人間じゃないよ、私」
「それは俺に対して失礼だよ」
「何で?」
「どうしようもない人間を好きになった俺もどうしようもないって事じゃん」
何度も間違えそうになる。
今隣にいるのが、ハルだって錯覚しそうになる。
名前まで、間違えそうになる。
最悪、最低だ。
優しい人に寄りかかりたくなるのは、仕方ないこと。
しかも疲れているときにそばにいたら。
しかも寄りかかって欲しいなんて言われたら。
絶対に寄りかかりたくなる。
でもそれって最終的には、その優しい人を傷つける。
だって、利用しているだけなんだから。
分かっているくせに、ね。
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