社員会。
なんて言う名前の、結局飲み会じゃん。
ワインをグラスで3杯ほど。
それだけで、酔っ払った。
栄と一緒の帰り道。
「振られたよ」
なんて、酔った勢いで話して。
バカみたい。
私は何を期待していたんだろう。
酔った勢いで、なんて理由付けまでしちゃって。
だって、帰りの電車の中では、酔いは冷めてたはずだもの。
「りりか。俺のことをそういう目で見てくれない?ずっと一緒に俺がいるよ。ずっと、大事にするから。一緒にいよう」
ちょっと混んでいる電車の中で、小さな声で。
こんなふうに、ハルと電車の中で、小さな声で、色々話したことがあったな。
似てる。
栄とハルはなんか似てる。
よく、思うこと。
でも、全然似てない。
背だってね。
栄はハルより20センチ小さい。
私より3センチ、小さい。
それに、ハルよりもずいぶん大人だ。
そりゃ、そうか。
バツ一で、子持ちで、ハルより4つも上なんだから。
黙って、そんなことを考えていたら。
「愛してる」
やっぱり小さい声で。
「今日は、大好き、じゃ無いんだね(笑)酔っ払っちゃってるのね」
「まるきり酔ってないんだよね」
「じゃぁ、どうしちゃったのかしら?」
「本当に、そう思っているから。結婚前提で、付き合って行きたい」
「考えられない」
昨日の今日で、今は実感が無い。
でも、この先絶対に寂しくなる日も来るだろうと思う。
その時に「考えられない」なんて、強気な発言出来るかどうかなんて、分からない。
自信なんか、無い。
メールが来た。
ハルから。
「なー(次女)からメール来たよ。ハル君、土日遊びに来れる?って。俺、土日は無理かもなぁ。ごめんねって返した。言えなかったよ。ママとは別れたんだよ、なんて言えなかった」
このメール見て、別れてから初めて苦しくなった。
夜中。
ハルが寝たと思う時間に返した。
「ごめんね。子供たちには、私から言うから。ホントごめんなさい」
寝たと思ったのに、起きてたらしく。
「りりかが、謝ることじゃないから」
って、すぐに返事が来た。
何か、返そうと思ったんだけど、言葉なんか見つからなくて。
事務的に。
「土曜日ね」
とだけ。
私は、ハルを好きになったみたいに、栄の事を好きになれるのかなんて、自信ないよ。
結局、寂しいからっていう理由で、利用しちゃいそうだよ。
だから、ごめんなさい。
「最初は利用でもいいよ。でも最終的に、俺がいなきゃって思ってくれるようになるのなら。だから、一緒にいようよ」
一緒にいよう。
ハルも何度も言ってくれたのにね。
私は、それを拒んで。
大好きな人にそう言われたって、出来なかったことを。
これから先、他の人で出来るのかなんて、分からないよ。
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