いつもの夜の電話。
「来月の最初の土日、子供たち連れてきてよ」
「いいけど。どうした?」
「姉夫婦に子供たちをまだ紹介してなかったじゃん。夏からよろしくって事で紹介するんだよ」
「・・・。夏から」
「もう、待てないよ」
「来年の3月とかは無理?」
「一体どれだけ待たせるんだよ」
「・・・」
「・・・もう。別れるか。そうやってどんどん逃げて逃げて。疲れたよ」
私は、しばらく黙った後。
「そうだね」
と言った。
やっぱり。
彼のところに行くのは、不安で不安で。
私の親もやっぱり子供のことを考えた上で反対しているし。
あと二ヶ月くらいで彼のところに引っ越すなんて、考えられなかった。
彼のことは、好き。
大好き。
愛している。
でも、彼のところへ、夏からなんて行けない。
逃げてる?
そうかも。
でも、これで良かったんだと思ってる。
今度の土曜、彼に会って。
今まで預かっていたお金がすごい額になったので、それを返すのと。
ちゃんと会って、今までのお礼を言おうと思ってる。
ホントに、三年半もずっとずっと。
支えてくれた人だった。
大きな人だった。
でも、私はあいつにとって、何も出来ない、変わらない、無駄な時間を過ごさせた女だった。
なのに、あいつは。
「あなたのことは、一生特別で、この先誰かと結婚しても、多分忘れることは無いだろうね」
なんて言ってくれたけど。
私にとっては、絶対に無駄じゃなかった。
色々なことを教わった。
たくさんの物をもらった。
本当に、大事にしてもらった。
だから、ありがとう。
顔見て、言わなきゃね。
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