march forward.
りりかの独り言。

2004年10月12日(火) 歪んだ指輪

さっき、夜の7時過ぎに、電話が来た。

仕事の帰りらしい。



「運転中の電話は、危ないよ?」

「大丈夫、イヤホン使ってるし」

「そか。どした?」

「実は、今日階段から落ちて怪我しちゃって」

「えぇ!?大丈夫なの?どこを、どうしちゃったの?」

「いや、そんな大騒ぎすることじゃないんだけど(笑)右の肘を捻挫と・・・」

「何?」

「ごめん、指輪、だめになっちゃうかも」


去年クリスマスに、お揃いで買った指輪。

階段から落ちたときに、右肘と左手でついたらしく、その時にどうやってなったのかは、彼も謎らしいけど、指輪が変形したらしい。


「戻りそうだけどね」

「いろいろやってみたんだよ、トンカチで叩いたり(笑)」

「だめだったんだ?」

「まず抜けない」

「抜けない??で、トンカチ?」

「自分の指を叩かないようにしながら、指輪だけ叩いたりしたんだけど。だめなんだよ。もう指に食い込んじゃっているし、切らなきゃいけないかも」

「それは、仕方ないよ」

「だから、ごめんなさい」



彼は、ここ最近の言い合いの事なんかで、罰が当たったと言う。

だから、指輪を切らなきゃいけない位に、歪んでしまったんだと。

「でも、もしかしたら、りりかの離れたく無いって言う意思表示を指輪がしてて、それで変形してまでも外れないのかも」

「罰でも、意思表示でも無いよ。不慮の事故だよ」

「違う。何か意味があるんだと思う」

「考えすぎだよ」

「いや。だから、やっぱり。ごめんなさい。許してください。俺は男なんだから、あなたを守らなきゃならないのに、自分に余裕が無いからって、当たってしまったり、本当に、本当にすみませんでした」

「・・・」

「黙らないでよ・・・ごめんなさいってば」

「うん、いや、そうじゃなくて。別にHだけが悪いわけじゃないし」




ずっと、引っかかっていて。

謝らなきゃならないのは、私だって思っていて。

思っていて。

なのに。

また、あいつから謝らせて。



あいつは、謝ってすっきりしたら、途端に肘の痛みがなくなった、なんて笑う。







こんなに、あなたを思ってくれる人は、どこ探したっていないよ。



いろいろな人に言われた言葉。

何回も聞いた言葉。

私が一番分かっているくせにね。


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りりか [MAIL]

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