あいつは、ずっと仕事が忙しくて、この連休も休みなし。
「もう、休みがないことなんか、当たり前になっちゃった(笑)」
って、普通に言えるのって、凄いなって思う。
明日は、実家でライラの誕生日会を開く。
そのため、今日は夕方から実家に来ていた。
ライラへのプレゼントは、前々から欲しがっていたゲームのソフト。
明日買いに行こうと思ってて、実家近くのデパートで予約済み。
夕飯を食べた後、お友だちから借りた本を寝転がって読んでいた。
子供たちはめいめいに漫画だとかゲームだとかをしていて。
母はドラマの総集編にはまっていた。
そのとき、実家の愛犬れーたんが吠え出した。
れーたん、どうしたの?なんてみんなで言っていたら「こんばんはー」と、あいつ。
ホント、びっくり。
来るなんて一言も言ってなかったし。
子供たちもびっくりしつつも、大喜びで玄関まで走って行った。
あいつの手には、大きな袋とケーキの箱。
「ライラ、誕生日おめでとう」
って、手渡した大きな袋の中身は、私が予約したゲームと彼からのプレゼントのゲーム。
「どうして?」
どうして来たの?
明日仕事はどうなったの?
そのゲームは私が買うはずだったんだよ?
もう、聞きたい事が山盛り。
あいつは笑いながら答えてくれた。
明日も仕事だけど、今日は早く終わったから、今日なら来れると思って、ライラにプレゼントを手渡ししたくて、来ちゃった事。
だから、明日は明け方ここを出る事。
ゲームは、予約してあるって事は分かっていたから、実家に来る前にデパートに寄って取りに行き、自分からもひとつ買った事。
あいつが買ってきたケーキにろうそくを並べて。
電気を消して、ハッピーバースディを歌う。
ライラは照れながら、ろうそくを消す。
「明日もやるんだよ?二回も凄いね」
お姉ちゃんに言われながら。
もらったゲームが嬉しくて、弟のゲーム機を借りて早速始めてた。
母が何度も。
「本当にありがとうね」
と言ってた。
ケーキを食べながら、お姉ちゃんが。
「Hくんは、サンタさんみたいだね。夜こっそり内緒でやってきて、プレゼント渡して。誕生日のサンタさんだね」
なんて、ちょっとロマンチックな事を言った。
あいつは照れながら。
「サンタさんみたいに、おじいさんじゃないよー」
なんて言ってたけど。
凄く嬉しかった、と後で言った。
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