march forward.
りりかの独り言。

2004年04月12日(月) 少しずつ歩み寄る

(昨日の続き)


「あなたは、私のどこが好きになったの?ねぇ、どこなの?」

あいつは、少し黙っていて。

それからゆっくり。

「性格と雰囲気」

って言った。

「その性格を、あなたは変えろって言ってるんだよ?おかしいよ。私、これでも結構あなたに譲歩して来たつもりなのに。これ以上は無理。譲れないもん」

「まるきり替えろって言ってない。確かに、さばさばしていて、男っぽいのはりりかのいい部分だとも思う。だけど、俺といる時だけでも、言葉に出して欲しいよ。俺といる時のりりかは、女の子になって欲しい」



私は、女の子なんて言う年齢じゃないし。

だいたい、可愛くなんて出来ない。

どうしたら、可愛く甘えられるのかなんて、本当に分からないし。

上手に、素直に、くっつくなんて事も出来ない。



話しているうちに、涙が出て来て。

「もう、潰れそうなんだよ。私はあなたが大好きなのに、それでも、もっともっと、今以上に愛して欲しいってあなたは言う。私が潰れたとしても、あなたはそれでも自分を愛して欲しいって言うんでしょ?今のままじゃ、私もあなたも、おかしくなっちゃうよ」

半分、叫びながら言った。

泣きながら怒鳴ったせいで、過呼吸になって、ハァハァした。

咳も止まらなくなった。

喉が、焼けたように痛くなった。


あいつも、泣きながら、私の背中をさすった。

私はその手を払って、泣いてばかりいた。

払われても、払われても、あいつは背中をさすって来た。


そして手を止めて。

「ものすごく熱い」

って言った。

自分でも、どんどん熱が上がってきているのは分かってた。

「平気」

って言っているのに、あいつは車をディスカウントショップに走らせて。

風邪薬と体温計を買って来た。

薬を飲んで、計ってみたら38度超えてた。

泣いていたせいで、余計に上がったんだろうけど。



帰ると言う私の意見なんか聞かずに、そのままホテルに入って。

抱えられるように部屋に連れて来られて。

ベッドに寝かせられた。

「一緒に寝たくない」

と言う私に、あいつは。

「最初から一緒に寝るつもりなんかないよ。ソファーで起きてるから」

と言った。

私はうとうとしつつも。

「やっぱり無理だよ」

とか言ったりした。

あいつは、しばらくそんな私の言葉に何も返答してこなかったけど。

何度か同じ事を繰り返す私の傍に来て。

「無理でも何でもいいから、今は早く寝て、元気になって」

と頭を撫でながら言った。

あいつの声が震えているから、顔を見たら、やっぱり泣いていて。

だから、私も泣いた。

「泣くと熱が上がっちゃうよ」

ってあいつは言いながら、やっぱり泣いてた。




私ばっかり、甘えていると思った。

考えてみたら、いつも私の変な意見を押し通して。

私は、この人に何もしてあげないのに。

自分はたくさんしてもらっているのに。

いつもいつも、合わせてもらっているのは、譲歩してもらっているのは、私の方なのに。

自分がしてくれって言われたら、してるじゃん!って怒るなんて。

そんな風に考えたら、私って最低だなぁなんて思えて来ちゃって。


泣きながら「ごめんなさい」を何度も言う。

「何がごめんなさいなの?」って聞かれても、やっぱり「ごめんなさい」って言う。



「おかしな事、俺も言い過ぎたよ。これがりりかなのにね。気持ちが見えたら、いいのにね。そしたら、俺もりりかも、不安になったりしないのにね」

・・・。





思った時に、少しずつ。

愛してるとか。

頑張っているねとか。

そういう事を言ってくれたらいいと思う。

言われたら、幸せな気持ちになれるんだから。

だから、恥ずかしいとか思わないで。





あいつは、ベッドに腰を掛けて、私の背中を撫でている。

私は、あいつに背中をむけて、サイドテーブルにあいつがおいてくれたウーロン茶を見ながら。

うん、って言った。

「少しずつ、歩み寄っていこう。不安になったりしないように」



もう一回、うんって言ってから。

「一緒に寝よう。風邪、移るかもしれないけど」

って言った。


あいつは、ベッドの中に入って来て。

私の向きを変えて。

私の頭を抱え込むようにして、背中をさすり続けてくれた。

凄く、心地よくて。


一番大事な事は、この人が大好きだと言うことだ、と思った。


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