9日夜。
電話にも出ないし、メールも帰ってこないし。
私も早いんだから、寝ようと思ってた。
そして、土曜日の日付が変わったばかりの12時。
あいつから電話がかかってきた。
かなり酔った声で。
嫌な予感はガンガンしてた。
でも、切る訳にも行かず。
「どうしたの?電話出なかったから、寝てると思ってたよ」
「オヤジと飲んでたんだよ。携帯は部屋に置きっぱなしにしていたから、分からなかった」
「そうなんだ・・・随分酔ってるよね」
「いいじゃん、別に。あと、明日はマジで行かないから。代わりとか言われちゃったら、行く気なんかなくすし」
「・・・だから、冗談のつもりだったんだってば。ごめん」
そこから、あいつの凄い攻撃が始まる。
最初は、代わりになんかしているはずないだろ、とか、冗談に取れなかったよ、とか、そう言う話だったんだけど。
話はどんどんずれて行く。
私の性格のことに話は移り。
気持ちを言葉にしてくれなさ過ぎる、と責められる。
「例えばさ。バイトのやつの事は褒めるじゃん。T君が凄く頑張ってくれて、とか、あの子は昼も夜も働いていて偉いとか。そう言う話はするくせに、俺の事は別に褒めないし」
「褒めるって、別に私T君本人を前にして褒めてないし。あなたにだって、頑張りすぎだよ、無理しないでって、私言って無い?」
「あんまり言わないんじゃない?」
「でも、凄いなぁ、頑張っているなぁって、私はいつも思っているけど?」
「そう言うこと、口に出さないじゃん!」
「・・・」
「だいたい、俺の事を好きだって言う言葉も、滅多に言わないよね!?」
「そんな、軽々しく口に出す事でもないかなぁと思うから・・・」
「そう言うのが、不安になるんだよ!本当に、好きなのかなぁって思ったりして、悲しくなったりするんだよ!!」
「なら、どうしたらいいの?」
「いつも、好きだって思って欲しいし、好きだって言って欲しい。頑張ってるねって言葉も、言って欲しい。俺が愛してるって思っている以上に、またはそれと同等に、俺の事を思って欲しいんだよ!」
潰れそうだった。
話を聞いているだけで、心が壊れそうだった。
だから、電話を切った。
何も言わずに。
限界だと思った。
私の好きと言う気持ちと、彼の好きと言う気持ちの比重が違いすぎて。
このままじゃ、私も彼も、潰れると思ったから。
切った後、メールした。
「もう、やめよう。終わりにしよう。私は、こう言う人間だから、やっぱり変わらない。私の好きと言う気持ちが、あなたに伝わらなかったんだと思って、今は悲しい気持ちです。たくさん、ありがとね」
そして、眠れないまま、朝が来た。
睡眠不足と、風邪とでだるい体で、仕事に向かった。
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