彼と会った。
どれくらいぶりなんだろう。
かなり久しぶり。
大事な話があるとか言って、翌日仕事があるのに来た。
またあなた睡眠不足になっちゃうよ、って、私は言う。
大事な話って、なんだろうって。
来る前から気になっていた。
悪い話かな。
でも、悪い話だとしても。
仕方ないって。
私は、すぐに結婚なんか出来ないんだから。
なんだか、諦めのような、そんな感じ。
強くなったのか、なんなのか分からないけど。
来るなら、来い!って思ってた。
悪い話でも、何でも。
「大事な話」と言われて、すぐに「悪い話」を連想して。
その悪い話の内容が。
「私が結婚を考えないから」
だと言う事を、一瞬で考えられる辺り。
自分でも思いあたる節がありすぎるんだろうなぁ。
あいつの「大事な話は」私の予想と違い。
「りりかの言う通り、同棲から始めてみよう」
だった。
私は「へ?」と、素っ頓狂な声を出した。
そんな事言うなんて、考えてもみなかったから。
だから、体の力が抜けた気がした。
やっぱり、来るなら来い、なんて強がっていたけど。
かなり、張り詰めていたんだなぁ、なんて思う。
「いいの?」
「うん、いいよ。気が済むまで、一緒に暮らして、俺を観察してください(笑)」
「いつから?」
「いつからでも」
色々な事をその後、睡眠時間を削って話して。
結局夏が終わった辺りから、と言うことになった。
後半年位したら。
正直、実感がなかった。
まだまだまだまだ、ずぅーっと先の話だとばかり思っていたから。
いきなり、半年後、なんて言われても、ピンとこないと言うか。
あいつが今回、同棲でもいいから一緒に暮らそうって言い出したのは。
私の意見を酌んでくれたこともあるけど。
なにより、仕事を始めて1年、今月から昇給したと言うこともあるらしい。
しかも、今までの倍に。
「もう、りりかが働く必要はないんだよ」
満面の笑顔でそう言われて。
「でも、やっぱり働きたい。バイトでもいいから」
と言うと。
「まるきり知らない土地に来てもらうんだから、少しの時間でも働いて、友達作ることも大事かもね」
とか言ってた。
まるきり知らない土地。
友達も、いない。
やっぱり、実感が湧かないまんま。
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