10年ぶりくらいに、話した。
電話で、だけど。
最後に会ったのは次女が赤ちゃんのときだった。
偶然、コンビニでばったり会ったんだった。
「りりかちゃん、お母さんしてるんだぁ」
なんて、声掛けてきて。
あたしは彼女が苦手だったから。
「うん・・・。一応」
とかなんとか、一言くらいで別れたんだった。
彼女は美容院で働いている。
昨日はお休みだったから、話す事が出来た。
休みじゃないと、夜遅くまで帰って来れないらしいから。
最初何て言っていいのか、分からなかったけど。
なんだか、勢いで電話しちゃったけど。
彼女も話したかった、って言ってた。
彼女はすぐにでも結婚したい。
でも。
元だんな様は、まだ出来ないと言ってるらしく。
そんな感じですれ違っている、と聞いた。
元だんな様も子供たちの事を考えて。
もう少し大きくなるまで再婚は待とうって考えているのか。
そう思った。
でも。
「りりかちゃんはいいよね。別れたのは自分のせいなのに、みんなに想ってもらえるんだから」
「想ってもらえる?」
意味が分からなかった。
「Kちゃん(元だんな様)は、結局吹っ切れてないんじゃない?」
ディズニーシーに行った事も。
彼女は大反対だったらしい。
そんなに子供たちに会いたいと言うなら。
あたしと子供たちだけで行かせたらいいのに。
いちいち家族で行くことないじゃない。
「離婚したんだから」
彼女は元だんな様に。
そう、言ったらしい。
「りりかちゃんの事、吹っ切れてないんだよ、きっと。そう言うと毎回喧嘩になるんだけど」
「母親ってだけで、独り占めできるんだもんね」
「私だって、好かれるように努力してたのに。でも、敵わないもんね。母親って言うブランドには。たとえ勝手にそのブランド捨てた人間でも」
最後は泣きながら、訴えられて。
「私だって普通に好きな人と結婚したいって思ってるだけなのに」
「りりかちゃん、子供引き取るって言ったでしょ?そんなことしたら、ますます結婚なんかしてもらえない。子供とりりかちゃん、一緒に暮らしたら、Kちゃんの気持ちは絶対にそっちに向くに決まってるじゃん」
「私、頑張るから。りりかちゃん以上のお母さんになるようにするから」
「だから、りりかちゃんは早く彼氏と再婚しなよ。そうしたら、Kちゃんも諦めつくから!」
「りりかちゃん、たくさんいいもの持ってるじゃん。まだ欲しいの?もういいじゃん!!!」
彼女は昔。
ちゃらちゃらしてる、軽い子だった。
適当に人生生きて行けばいいや、ってよく言う子だった。
学校の先生からも。
「お前の将来不安だなぁ・・・ちゃんと考えているのか?」
とか言われても。
「だから、適当に生きて行くんだってばー」
とか返すような子だった。
こんなふうに、泣いて叫びながら訴えたりする子ではなかった。
違う人みたいだ、と思った。
10年の間に、知らない人になったみたいな。
ううん、元々そう言う子だったのかもしれない。
あたしが知らなかっただけで。
なんだか、怖くなって。
謝ってばかりいた。
電話を切る前に。
「子連れで旅行とか行くのはいいけど、Kちゃんは誘わないで。誘われたら、行くに決まってるじゃん」
と言われた。
この間の旅行。
元だんな様は行ってない。
誘ってもいない。
なんだか、さっぱり分からなくなった。
元だんな様に電話をしようと思う。
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