march forward.
りりかの独り言。

2003年03月23日(日) 偶然

あいつは、今日は久しぶりの休みだし、お墓参りに行くと言って。

午前中のうちに帰って行った。

あたしも、帰宅して掃除して。

いいお天気で。

気持ちのいい青空の中。

携帯の着信音。

聞き慣れない音だと思ってたら。




元だんな様から。






他愛のない話をしてて。

「りりか、来月誕生日だろ。何欲しい?」

あたしは、びっくり。

貰えるはずないじゃん。

そんな風に、誕生日プレゼントの事をいきなりだされるなんて、思ってなかった。




「いらないよ。欲しいものとかないよ」

「そか。なら、来月半ば。ディズニーシー行かない?」

「??はぁ?」

「子供たちと5人で、行かない?」

「・・・」

即答で「行く」って言いたい。

けど、なかなか、言葉が出なかった。

喉に、何か詰まったみたいに。

言葉が、なかなか出てこなかった。



「行かない?」

もう一度聞かれた。

あたしは。

「行って・・・いいの?」

と、逆に聞き返した。

「誕生日だしね。いいよ。俺からのプレゼントって事で」

「ほんと・・・?会えるんだ・・・」

「うん、いいよ」



無意識に涙が出た。

夢じゃないんだよね・・・。

何度も「夢じゃないんだよね」を繰り返してた気がする。






あいつに、話したかった。

メールじゃなくて、言葉で。

あいつは、お墓参りに行っているから。

終わったら電話して、とメール入れて。

あたしは、電話を待った。




夕方。

電話が来た。

あたしは、すぐ、話そうと思ったんだけど。

あいつが嬉しそうに「聞いて聞いて」を連発するから。

先に、あいつの話を聞こうって思って。




「あのね。新しい車の運転、今日一日したんだよ。だいぶ慣れたんだよ」

「よかったねー」

「それで、やっぱり最初に助手席に乗せるのは、りりかがいいんだよ」

「うん、ありがと」

「だからね、練習もずっと一人でやってたの。もう、それこそ親も乗せないいきおい(笑)」

「(笑)そんなの気持ちだけでいいのにー」

「でー!オヤジにね、来月りりかの誕生日だから、休みを貰いたいって言ったんだよ。半ば位なら、いいよって言われて。あ、もちろん、りりかの誕生日は休みじゃなくても会いに行くけど」

なんとなく、嫌な予感がした。

「それで、来月半ば。一年ぶりに、ディズニーシーに行こう!ね!!」

「・・・」

的中した、と思った。

前々から、1年経つし、行きたいねと言う会話は出てた。

けど、半ば、なんて。

同じ頃じゃん・・・。

「その時に新しい車で行くから。りりか、横に乗ってね」

「あ・・・うん」

「嬉しくないのー?」

「嬉しいよ!」



嬉しいよ・・・。

けど、もう今更、「子供たちと一緒にディズニーシーに行く」なんて言えなくなってしまった。

言わなきゃいいのかもしれないんだけど・・・。

でも、いいたかった・・・。


たぶん、言ったら。

あいつは「じゃ、今回は辞めよう」って言うと思う。

違う所に行こうか、とか。

でも。

せっかく、あいつも楽しみにしてくれているのに、言えない。




日にちだけは、絶対にずらさなきゃ・・・。




「で、りりかの話って何?」

「あ、うん。えっと・・・何だっけなぁ(笑)」

「何何ー?気になるなぁ。なんだよー?」



何か、適当にごまかしたけど、覚えてない。






こんな偶然が、あるなんて。






軽く言えばいいのかもしれない。

「ディズニーシーには、子供たちと行ける事になったから」

って。

けど、言える?

あいつは怒らないだろうし、むしろ喜んでくれるかもしれないけど。



けど、あいつだって傷つくんだ。

元だんな様も一緒、って分かったら。

あいつだって、寂しい思いするんだ・・・。





そう考えたら。

言えないよ、やっぱ。





子供たちと会うのは、もう半年以上ぶり。

ライラには会っているけど。

凄く嬉しい。

まだまだ先の話だと思っていたから。




でも、こんな偶然って、あるの?

あいつと行くのだって、もちろん、楽しみだし。





あたしが、黙っていれば済む話なんだ。



そう思う。


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