march forward.
りりかの独り言。

2003年03月22日(土) 変な感覚

「明日、休みになったけど、墓参りに行ったりしなきゃなんだよ。だから、明日の夕方ちょっと行く、とかになっちゃうかも」

休憩中、電話が来た。

「そかー。ちょっとでも、いいよ、うん」

「ごめんねー」

「ううん、いいよ」


とか言ってて。

あたしは普通に仕事してたら。



あいつがご来店。

珍しく、あたしはフロア(接客の方)だったんだけど。


声が出なかったわ・・・。

ついさっき、電話してたのに。

明日夕方とか言われたのに・・・。





「何、驚かせるの、MYブーム?」

って聞いてみた。

あいつは、笑って。

「いいじゃんー。会いたかったんだもん」

とか言う。




あたしが上がる時間まで二時間近くあって。

あいつは、本を読んでた。

何か、仕事の、本。

店内は暇で。

お客様もまばらで。

「何か飲む?」

って聞いてみた。

「俺が運転するから、酒は飲めないしね。いいよ、お茶で」

とか言って。

ずっと本を読んでた。




勤務終了。

あいつの車に乗り込む。

「どこ行こうか?」

って、言われたけど、もう夜の11時半。

あいつはさっき店でご飯を食べてたし。

あたしもお腹は空いてないし。

「ドライブしようか」

って、言われて。




前、あいつが住んでいた部屋の前とか通る。

あたしは、一人でここを通るのが、嫌。

何か、思い出しちゃって、悲しくなっちゃうから。

今日も。

あいつとここを通った時。

何か、錯覚した。


今から、あの部屋に戻るあたしたち。


みたいに。

でも、違うから。


やっぱり、悲しくなる。





適当に走った後。

コンビニでお酒を買う。

で、前回あたしが嫌だって言って。

喧嘩の原因になったラブホに行く。

「一緒にお風呂に入ろう」

って言われて。

あたしも素直に「うん」って言った。





かなり、中が綺麗なホテルだった。

あいつは昔来た事があるとか話す。

二人でソファーに座って、お酒を飲む。

最近、毎晩のように飲んでいる事を話したら。

やっぱり怒られた。

「明日は禁酒ね!」

「はーい・・・」








一緒に真っ暗なお風呂に入った後。

バスタオル一枚巻いただけで、また飲んで。

あたしはかなり気持ちよくなって。

「会えて嬉しい」

を連発する。

あいつはやっぱり笑顔で。

「俺も嬉しいよ」

って言う。

あたしの髪を触ってるあいつの手が好き。

今日は仕事だったから、指輪はあいつからクリスマスに貰ったネックレスについてて。

あいつがそれを外して、あたしの指にはめる。

あたしは、はめてくれてるあいつの指を。

ずっと見てる。

よく分からないけど。


「好きだなー」

って思う。





ソファーでたくさん話をする。

あたしが一方的に、話してるんだけど。

話の途中なのに、キスをしてこようとする。

あたしが顔をそらして、話を続けてても。

今度はうなじとか耳にキスをする。


「ねー。話せないじゃんー」

「いいよ、続けて・・・」

「だって聞いてるの?」

「うん、聞いてる・・・」


あたしは、黙った。

あたしの背中にゆっくりキスを何度もする。

そして耳を攻められる。



酔っていて、気持ちがいいから。

普段以上に、変な感覚になる。

体が勝手に、びくって反応する。

「やめて・・・」

「ううん、やめない」


こう言うとき、あいつと目が合うのがいや。

いつもと違った雰囲気のあいつの目を見ると。

それだけで、変な感覚になる。

なんていうか。

変な感覚。





ベットに連れていかれて。

電気がちょっとついてて。

あたしは「消したい」って何度も言ったんだけど。

「ううん、消したくない」

って言われる。

酔っていたからかなぁ。

あたしも、それでもいいかーって思ってしまう。

「りりかは、胸がどうのって言うけど、全然関係ないよ。やっぱり綺麗だもん」

そんなはずはなく。

妊娠線はあるし。

絶対に綺麗なんかじゃないんだけど。

あいつは、お構い無しに、胸から下に。

妊娠線の所にキスをする。





やっぱり、あたしは変な感覚になる。

どんどん変な感覚になって。

浮いているみたいな。

何かに思い切り掴まってないと、おかしくなってしまうみたいな。

だから、いつもあいつの手を。

凄い力で握っていると思う。

怖いくらいに、自分じゃなくなって行く感覚。

こういう感覚になるのって、あいつと付き合って、初めて知った。

あいつが何度も言う。

「りりか、大丈夫だよ。大丈夫だから・・・」





声が出ない。

息を止めてると、楽。

あいつが、あたしの名前を何度も呼ぶ。

あたしは答えられなくて。

言葉で答える代わりに、あいつの首にしがみつく。

あいつも、あたしを思い切り抱きしめる。

どこまでも、続きそうな、深い霧みたいな光景が、目の前に広がる。


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