明け方。
あいつを家まで送った。
まだ4時半くらいだったから、真っ暗で。
あいつの熱は、だいぶ下がったとあいつが言ってたけど・・・あたしには、まだまだ熱く感じられた。
畑の真ん中の道で、あいつが「止めて」って言った。
あたしは「?」って思って、止めた。
「ライト消して」
「うん」
ほんと、真っ暗。
「星綺麗に見えるでしょ」
あいつが、ちょっと自慢げに言う。
「うん、すごい」
「だろ」
満足気。
ちょっと車を止めて、見てた。
窓開けたら寒くて。
あいつは熱あるんだから、と思ってあわてて閉めた。
あいつの家の前で、降りる前にキスをした。
頭の中で、「次のキスは、いつだろう」ってぼんやり悲しい事を考えた。
次の約束は、ない。
あいつの時間が空いたら、と言う約束しかない。
その、空く時間は、いつかは、未定。
だから、約束はないのと同じ。
帰り、運転しながら、そう考えたら悲しくなった。
次、あたしたちが笑いあうのはいつ?
もしかしたら、もう来ないの?
そんな風に後ろ向きに。
けどね。
運転している間に、朝日が出て来て。
だんだん明るくなって来る空を見てると。
「平気。俺たちはいつまでも、ずっと一緒だよ」
そう、あいつが言ってた言葉を信じられる。
平気、あたしたちは、いつまでも、一緒にいられるよね。
そんな気持ちで早朝に到着。
降りようとしたら・・・助手席にあいつの財布・・・
あわてて電話した。
慌ててるあたしとは裏腹に、あいつは落ち着いた声で。
「いいよ、送ってくれる?悪いね、手間掛けさせて」
即行で、送りました・・・。
で、後で来たメール。
「結婚前から、金の管理させちゃったね♪」
バカ・・・。
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