あいつと付き合う前までは、普通の事だった。
なのに、何でこんなに苦しくなるんだろう?
たった一言。
「疲れたー」
こんな言葉を、吐き出せない事が。
ずっとやれてきたのに。
あいつと付き合う前までは、そんなの口に出さなくても大丈夫だったのに。
聞いてくれるって事が、当たり前になってしまった、今。
言えない事が、溜める事が、こんなに辛く感じて。
久しぶりに、お酒を飲んだ。
明日は早いから、睡眠剤と一緒に。
こういう飲み方はだめだって、思ってる。
気分がよくなって、妹に電話した。
何だかおかしいって何度も言われた。
酒と薬を一緒に飲んだから、何て言ったら、怒られると思って黙ってた。
電話を切った後、バイトの子から電話が来た。
明日の仕事の事で。
そのあと、なんだかその子の愚痴を聞いたりして。
30分ほど話した後、メールをチェックしたら、あいつから来てた。
「電話中だったよー。電話終わったら起きてるから電話ください」
「もしもしー?」
「長電話してたでしょ?」
「うん、Tと。明日の事で」
「そかー。どう?」
「何が、どう?なの?」
「いや、何か、変だよ?」
ハイテンションのあたし。
「いつもと一緒ですー」
「酒飲んだ?」
「飲んでない」
「なら薬だ?」
「飲んでないってー。いつもと一緒だよー」
「いや、おかしいって」
「おかしくないよー」
明らかにおかしいんだけどね・・・。
「何かあったの?」
「何か〜?いろいろあるんじゃない?ま、所詮バイトみたいなもんですから、いいんですけど」
「何言ってんだよ?」
「昨日、君がいったんじゃん?」
「・・・。あれは、りりかが、あたしは料理とかしない、みたいな言い方するから、売り言葉に買い言葉的に・・・」
「何でもいいけどー。そう言ったのは、Hだよ。だから、言わないですー」
「やだ、聞きたい。りりかの思ってる事、全部聞きたい」
ハイテンションだったのが、一気に悲しいモードに切り替わる。
「平気だもん・・・」
「何が平気だもん、なんだよー・・・もう、どうしちゃったんだよー・・・。おかしいよ・・・」
「平気だから、寝て。明日も早いんでしょ」
「寝れるわけないだろ。どうしたの?ねぇ、どうしたのー?」
「だって・・・」
その後は、涙で声が詰まる。
こう言うときは、涙もろくなっちゃうんだよね・・・。
普段は絶対に泣かない場面なのに。
「いろいろ嫌な事とかあって。でも、あんな風に言われて。それで、あたし我慢しなきゃ、頑張らなきゃって思って・・・。辛くなっちゃって・・・」
「うんうん、ごめんね・・・。辛くなっちゃって、どうした?」
「辛くなっちゃって、お酒と薬飲んじゃった・・・」
「それでおかしかったのかー・・・。何でおかしいのか理由が分からないから、もうホント、心配したよ・・・。りりかー、あれは本当に俺がいい過ぎたって反省してるよ。ついそう言っちゃったんだよ。りりかはね、頑張ってるって本当に思うよ。みんなに負担が掛からないようにって、凄く頑張ってると思うよ。俺が一番理解してるよ?」
「だって、あんな風に言うんだもん・・・」
「だから、ごめんね。許してください」
「うん・・・でも、なるべく不満とか愚痴とか言わないように、頑張る」
「いや、もうすでにりりかは頑張りすぎだから、頑張らないでいいよ。俺にはどんどんぶちまけていいんだからね」
電話を切った後、アイショットが送られてきた。
「14日はこれでよしよしいっぱいするからねー」
ってメッセージと一緒に。
写真は、あいつの手。
なんだか、余計に悲しくなっちゃった。
会ってないと。
たとえば小さな不安の欠片が。
どんどん大きくなっていく。
会ってれば。
顔見て話しているうちに、消えて行く位の欠片なのに。
会えないと、欠片がどんどん大きくなっていく。
そして、不安の塊なって、それに潰されそうになってしまう。
あと3日。
顔見て、たくさん話したいよ。
|