朝から、お腹が痛かった。
今日は仕事は休み。
だから、友達とランチ。
ランチでもして、話していれば、痛みもなくなるかなぁって。
・・・。
やっぱりお腹は痛い。
生理ではなさそうだし・・・。
昼休みで、あいつからメールが来たので、その事を伝える。
しきりに心配される。
一緒にランチしている友達たちに。
離れて今日で四日。
寂しくない?
って聞かれた。
あたしは正直に、寂しいよ。って答える。
あたしはランチの前に午前中。
あいつに手紙を書いた。
強がっているけど、本当は寂しい。
会いたい。
って内容。
こんな事書かれても、困っちゃうのにね・・・。
そんな手紙を、出すか、それとも今日直接持って行くか、悩んだ。
明日も休みだから、今夜行く事は出来る。
けど。
天気予報は、夜から雪。
あたしは高速の運転が苦手だし、その上夜中に雪の中は・・・無理かな。と諦めた。
夕方。
「ただいまー。今仕事から帰ってきたよ」
って電話。
あたしは妹と出かける途中だった。
「お帰り」
「今から行くよ」
「は?どこに?」
「りりかに会いに」
「え???明日休みなの?」
「ううん、休みじゃない。明日は6時半に起きる。だから、今から出てそっちにつくのが9時半くらいでしょ。それで12時くらいにそっちを出れば、家につくのが2時半だとして、4時間寝れるよ」
「だめだよ、雪になるかもしれないし・・・」
「雪になったらすぐ帰るよ」
「なんで、急に・・?」
「昨日は泣きながら電話してくるし、今日は朝からお腹痛いとか言ってるし・・・俺はりりかの診療所だからさ。往診に行くよ!」
「大丈夫だよぉ・・・」
「大丈夫じゃないよ!」
「だって、大丈夫だもん・・・」
「会いたくないの?ねぇ、会いたくないの?」
「会いたいけど・・・」
「でしょー。来て欲しいでしょ?会いたいでしょ?会いたいはずでしょ!行くよ、待ってて」
「うん・・。気を付けてね」
隣にいた妹が、にやにやしてる。
「りりかちゃん、よかったね」
あたしは恥ずかしいのと嬉しいのとで。
「でも、明日朝早いのに、悪いなぁ。いきなりなんだもん・・・」
とか、ごまかす。
「優しいね。Hちゃんは。すごいよね、疲れた体で、りりかちゃんが具合悪いとか寂しいって言えば、すぐ飛んで来るんだから」
黙ってうなずいた。
本当に、凄い。
カバンの中に、出そうと思ってた手紙。
結局手渡し出来るんだなぁ、って。
凄く嬉しくなった。
彼は、予定より、早くついた。
妹は気を利かせてくれて、友達の所に行った。
たくさん、抱きしめて貰った。
たくさん、頭もなでて貰った。
たくさん、笑った。
時間は三時間弱しかなかったけど。
あたしにとって、それは充分過ぎる時間で。
それだけの時間で、ものすごく幸せな気持ちになれて。
「りりかも寂しいかもしれないけど、俺だって寂しいよ」
って言葉も、素直にうなずく事が出来て。
あたしたちは、きっと大丈夫。
そう思う事が出来た。
帰り際。
ちょっと泣きそうだったけど。
泣かないで、「またね」って言えた。
泣いたら、また困っちゃうもんね。
帰り道のあいつに電話した。
「本当に、来てくれてありがとう」
心からそう思って言った。
ちょっとだけ。
誤解してた。
仕事が始まったら、疲れるから。
いくら会いにくるとは言っても、無理なんだろうなって。
体が慣れるまでは、休みの前の日じゃないと・・・休みの前の日でも、難しいだろうなぁって。
今までは、あたしの事を一番に考えてくれてたけど。
仕事が始まったら、あいつの中で、どんどんあたしの順位なんか下がっていくんだろうなぁって。
それは仕方ないって思うけど。
思ってたけど。
寂しすぎるな。
って思ってた。
学生のうちだったから、マメに出来た事とか。
社会人になったら無理なんだろうって。
そのギャップみたいなものに、あたしは耐えられるのかなぁって。
いや、耐えなきゃいけないんだろうって。
けど。
今だって、あいつにとってあたしは一番で。
一番だから、こうして行動してくれる事が分かって。
安心した。
安心、出来た。
往診の効き目は、あったみたいだよ。
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