march forward.
りりかの独り言。

2003年01月31日(金) 現実逃避

あいつの部屋の掃除をしに行った。

何もなくなった部屋。

ゴミが、ぽつぽつ落ちてただけ。




寂しさは・・・出てこなかった。

何だか。

知らない人の部屋に、来ちゃった感覚。

知らない人の部屋を掃除にしに来た、感覚。

ここで、あたしが、あたし自身が。

一年間いろいろな事をしてきたとか。

一年間いろいろな事を考えてきたとか。

そんな事は、まるきりなかったみたいに。

本当に、知らない部屋。




「ここは、あたしがあんなに通って、泣いて、笑った、あの部屋?」

思い出せない。

ここで、どんな風に泣いたのか。

どんな風に、あたしは、笑ったのか。





何もなくなった部屋で。

あたしは、抱きしめられたけど。

知らない部屋で。

知らない人に。

抱きしめられている。


そんな感覚で。



あたしの感情が、麻痺しちゃっている。





一年間、いろいろな事があった部屋で。

今までも、これからもずっとずっと好きな人に。

抱きしめられている。


・・・明日から離れるのだけど。



そう思えない。

思わないように、勝手にしているのかもしれない。






「泣け泣けって言うから。何だか、泣けなくなっちゃった。寂しい気持ちも、なくなっちゃった」

あたしは、そう言った。

「泣けって言うのは、悪乗りだったんだよ・・・。ただ、俺がこっちにいる間は、泣いても慰めたり、抱きしめたり出来るから、泣いていいよって意味だったんだよ」

って、「ごめんなさい」って言葉と一緒に言ってきた。




新年会でも。

後数時間で、離れ離れになるって分かっているからか。

分かってないのか。

なんなのか。

いつも以上に飲んでいるのに。

全然記憶は飛ばないし。

どうでもいいやーって、酔えないし。






あたしは。

泣かなかったよ。

泣く感情は、どっかに置いて来ちゃったみたいに。



あたし、泣かないで、最後まで「仕事、頑張ってね」って言えたんだ。


これは、冷めたとかじゃなく。

やっぱり、あたしは現実として受け止めたくない。

そう思ってしまうから。



だから。

泣かないで、いられた。




だって。

また、明日。

あの部屋に行ったら、やっぱりいつも通りで。

こたつがあって、ベットがあって、座椅子があって。

「寒いから、早くこたつ付けてよー!」

って、あたしが言いながら座って。

「まず、コート脱ごうよ」

って、あたしのコートを脱がせてくれて。




いつも通りの。

いつもの部屋がある気がしてならない。

あいつも、いつも通り、あたしと一緒にいて、笑ってて。

あたしも、いつも通り笑ってて。








「現実逃避。」


今みたいな、あたしの状態の事、言うんだね。


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