「引越し、30日だっけ?荷造りあたし手伝いに行くよ」
朝、電話して言った。
「いいよ」
「なんで?」
「何でもだよ」
「変なの。一緒にやってあげるって言ってるんだよ?」
沈黙。
あら?
朝だから、機嫌悪い?
とか、思ってたら。
「俺ね、この部屋嫌いでさー。借りたときも時間無くて、親父にこれでじゅうぶんだろ、とか言われてさ。実際住んでて嫌いだったの。けど、かれこれ5年弱。なんだろうねぇ。ここから出ていくって実感が急に湧いてきちゃってさ」
「うん、そうだろうねぇ」
ふと。
あたしが、最後に家族五人で暮らしてたあの団地を、思い出してしまう。
寂しくなっちゃう気持ち、分かるなぁ。
「いろいろな事があったんだよ、ここで。合コンで引っ掛けてきた看護婦を一ヶ月泊めたりね」
「ばーか・・・」
「あとは、飲み会を毎晩開催したなぁ。とかさ」
「うん、そかそか」
「でもね。りりかとの一年が一番大きいかなぁ。うん、凄く、大きい」
「ありがと・・・で、片付けは・・・?」
「だからね。一人でやっても感慨深くて、しんみりしちゃうの。それをりりかと一緒にやったら・・・泣くかもしれないからだめ」
「あはは・・・そーなんだ」
「大丈夫、一人で出来るよ。ありがとね」
「実は、エッチな本とかビデオとか発見されたら困るから、とかじゃないでしょうね!」
「そんなの、発見されてもOKだもん」
結局。
あたしには手伝わせてくれないらしい・・・。
確かに、言ってる事も分かるんだけどね。
一緒に、片付いて行く部屋を見ているのは、悲しくなるだろうと、あたしも思う。
まして、今回はついて行けないのに。
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今この日記を書いているのは 1/28 AM1:13
一年が経ってしまいました。
さっき、あいつから12時丁度に電話が来て、「おめでとー」と言われました。
何がおめでとう、なんだろ・・・(笑)
でも、ここまで続くとは、お互いに予想していなかったね、といいあいました。
長かった。
そして、あっという間だった。
いろいろな事がありすぎた、一年でした。
あたしたちは、成長したのだろうか?
きっと、したよね?と、励まし(?)あいました(笑)
電話を切る間際。
「これからも、ずっと、後、半世紀くらいかな。一緒にいてね」
と、言われました。
たぶん、一緒にいるんだと思います。
漠然とだけど。
ずっとずっと一緒にいるんだろう、と思う、一年目の深夜でした。
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