march forward.
りりかの独り言。

2002年12月31日(火) 大好きな人と一緒

夕方、「店の駐車場についています」ってメールが来てた。

着替えてすぐに出て行く。



「早かったねー」

「向こうを午前中に出てきたんだよ。で、家に帰って掃除とかして来た」

「そか」

「まー、のって。今日は俺のプランね!」

「今日も、でしょ?」

「いやー、なんだかんだ言って、いつもりりかのペースになってるからなぁ」

「そお?」

「うん!!」




いきなり高速に乗る。

「何?どこ行くの???」

「ミレナリオだよ」

「車で???しかも大晦日だし、混んでるって」

「どっか近くの駐車場に停めて、後は電車。混んでても仕方ないの」



天気予報は夜から雪だった。

だから、帰りにいっぱい降ってたらどうしよう・・・とか考えちゃうと・・・。



「大丈夫だって!」



あいつはやっぱり、楽天家・・。





新橋に車を停めて、電車で移動。

「どれくらい並ぶんだろう・・・」

「一時間くらいらしいよ?」

「えぇー・・・」

「えー。とか言わないの!」




寒いのが苦手なあたし。

でも、人ごみのせいか、寒くない。

あいつはむしろ暑いっていってるし・・・。

「でも手が冷たいんだよね、りりかは」

あたしの手を自分のポケットに入れる。



並んでいる間、いろいろな話をしてくれた。

あたしが飽き無いように、いっぱい話してくれた。

あたしが仕事の事とか、話し出しても、ずっと笑顔で聞いてくれてる。

こんな話つまんないよね、ごめん。

ってあたしが言うと。

りりかといてつまんないことはないよ。

って言ってくれる。




そんだけの事が、凄く嬉しかったりする。

こいつが好きだなぁって思い知らされる。

もう、一年も一緒にいるのに、ずっと変わらず。

違うな。

一年前以上にいっぱいあたしに愛情を注いでくれる。






ミレナリオは凄く綺麗で。

でも、遠目から見たほうが綺麗で。

中に入ってももちろん綺麗だけど、骨組みとか見えちゃうせいかな?

遠くからの方が綺麗だね、って。

二人で話してた。





雪は降ってこなくて。

無事に車で帰って来れた。

「お腹空いたなぁ」

「俺も空いた!」

「何食べる?」

「年越しそばでしょ」

「あたし、そば余り好きじゃない・・・」

「ならうどん!」

「うんー。いいけどおなか空いたよー」

「・・・。分かった。そこ入ろう」


入ったのはパスタのお店。

「麺には違いないし!」

「いいの?うどんじゃなくて?」

「だって、りりかお腹空いたでしょ?」

「うどん屋さんを探すくらい我慢できたよー?」

「いいよいいよ。我慢することないじゃん。パスタでいいよね。俺も実家にずっといたからパスタなんて物出ないしさー」




あたしがパスタ好きなの知ってて。

こうやってちょっとずつ気を使ってくれるんだよね。




その後はドライブしてたんだけど。

あたしは寝ちゃって。

起きたら全然知らないところを走ってて。




「どこ行くの?」

「今日はホテルにお泊まりです」

「え?」

「一緒に夜景見よ。年越ししながら」

「え????」

「大丈夫、このシャンプーやだーとか言うと思って、ちゃんと持参済みだから」

「そんな問題じゃないんですけど・・?」

「いいじゃん、予約も取ってあったんだー」




あたしが泊まった事のないような高層ホテルで。

高そうで・・・。

頑張っちゃったな、こいつ・・・って思った。





部屋の窓が大きくて。

夜景が見えて。

すごく、すごく綺麗で。

ワインサービスまであって。



部屋から見えた大きな電子時計がカウントダウンを始めてた。



ゆっくり、あたしからくっついた。

あいつの首に腕を回した。

目が合って、びっくりした顔されたけど。

すぐに笑顔に戻って。

あたしの大好きな、無邪気な笑顔に戻って。



頭をなでて、髪をなでて。

キスをしてくれた。





どこかで花火が上がった。

目を閉じていたから見えなかったけど。

音がした。

新しい年になったんだなって思った。



大好きな人と一緒に、新しい年を迎えたんだなって。




目を閉じたまま、思った。


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