久しぶりに髪の毛を切った。
仕事柄束ねてしまうから、長くても面倒じゃないし、伸ばしっぱなしにしてて。
あいつは「切っちゃうのー?」と悲しそう。
あたしの髪の毛が大好きらしい。
「なんかやわらかくて気持ちいいんだよね、触ってると」
なんて言う。
確かにあたしの髪質は健康だって美容師さんにも言われる。
真っ直ぐな髪。
でも、パーマは掛かりづらいんだから・・・
20センチ切った。
肩よりちょっと長いくらいって言ったら、それくらいになった。
凄く軽く感じた。
何だか見慣れない自分。
鏡の中に見つけて。
あいつはなんていうのかな、って考えたりした。
「お、いいじゃん。似合ってるよー」
あいつはニコニコして、言ってくれた。
「トリートメントも高いやつしてもらったんだ」
あたしの髪の毛を触りながら、
「その効果は無いな。いつもと変わらないし」
って言った。
あいつの部屋でごろごろしてたら、また髪の毛を触りながら聞く。
「切った髪の毛ってどうするの?」
「切った髪の毛?」
「今日切った、りりかの髪の毛」
「そんなの、下に落ちて捨ててるでしょ。普通でしょ?」
「でも20センチ切ったらかなりの量でしょ?もらえるのかと思った」
「まさか!もしもらってもどうするのよー?」
「俺が欲しかった。りりかと会えなくても触っていられる!」
「・・・気持ち悪いよ、なんか」
「そういうな!」
ずっとあたしの髪の毛を指に絡ませて遊んで。
「本当に欲しかったなぁ」ってつぶやく。
そんな切った髪の毛だけより、こうやって実物触っているほうがいいに決まってる。
でも、そんなにあたしの髪を好きでいてくれてありがとね。
・・・でも、切った髪の毛が欲しいなんて、気持ち悪いよ、やっぱり!
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