「りりかさんは、乾燥肌だよね」
あたしの、荒れた手を握りながら言う。
仕事で水を使うから、冬場はどうしても手が荒れちゃう。
あたしは、恥ずかしくて、手を隠そうとする。
あいつの手は、男の人なのに綺麗で。
指も長くて、爪も綺麗で。
羨ましいなぁっていつも思う。
仕事柄、マニキュアもつけられないし、あたしは自分の手が嫌い。
「手を握るの嫌?」
「嫌なはず無いじゃんー」
笑って隠そうとするあたしの手を、引っ張る。
あたしは、また隠す。
「でも、あたしは嫌い。手って、年齢出るよねぇ」
「また、そういう事言うー」
「だって、そう思うんだもん・・・」
「気にしないでいいよ!」
「うん・・・」
そんな話を、ちょっと前にしてて。
あいつが、ドラックストアの袋持って来た。
中には手荒れクリームばっかり5つ・・・。
「なにこれ?」
「りりかさんが、気にするからだよ」
「あたしも持ってるよー。しかも、こんなにいっぱい・・・何年分?使いきれないでしょ・・・」
「俺が塗ってあげるから、いつでも!」
あたしが笑ってると。
「だって、手もつながせてくれないじゃん!勝手に気にしちゃって。だから、俺が塗って、せめてそう言うときに触らせて・・・って、俺変態?」
「充分ね!」
自分で塗れるからいいよ、って断っても、塗りたいの!って、手を引っ張る。
「なら肩もみもしてよ」とか調子に乗って頼んじゃう。
肩もみされて、うとうとしてると背中をとんとんされる。
「寝ていいよ、寝るまでこうしてるから」
たぶんね。
君の愛し方はとてもストレートで。
そして、それって、凄い事で。
もっともっと、ストレートに出した分、お返しに愛情をいっぱいくれる人とかが・・・。
荒れた手みたいに、あたしの心も最近、荒れてます。
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