「今日、送別会終わりそうになったら連絡して。迎えに行くから」
朝、メールが来た。
あたしも素直に。
「うん、お願いします」
て、メールした。
一次会はカラオケだった。
だから、一次会で帰ろうと思ってたあたしは、カラオケの予約時間を3時間と聞いてたし、「22時には終わりそう」ってメールした。
あたしは、約束通り、お酒は最初の乾杯だけで、後は体調が良く無いって事で、辞退させていただいてた。
けど、例のあいつが嫌いなマネージャー(Kさん)が、「○○(あたしの旧姓)さん、になったんですよね!いやー、びっくりしましたー。さー、独身同士、飲みましょう」とか、注いで来た。
あたしは、やんわり断り続け。
Kさんは「じゃ、一杯だけ、お願いします」とか言う。
あたしも、一杯だけ。って事で、付き合った。
「なんだよ、最後まで飲み干して無いじゃんー。りりかさん、それは失礼ってもんですよ」
とか言われて、また注がれる。
心の中で「このやろー」と思いつつ、二杯目。
乾杯ビールも入れたら、三杯目か・・・
顔は熱くなってくるの、分かってたから。
まだ注いでこようとするKさんに。
あたしは「本当に、風邪引いているので」って断った。
トイレに行っている間に、あいつに電話した。
「平気、酔ってない。22時には出るから」
「はーい。わっかりました」
席に戻って、「これどうぞ」とKさんに言われて渡されたピザを食べる。
・・・。
すげー、辛い。
「なに!?」
「あ、タバスコ?」
にやにやしながら、タバスコを見せる。
こいつ・・・!と思いながらも、一応上司(でも年下)なので、笑顔で「辛いの平気なほうなんですけどねぇ、どれくらい掛けたんですか?」とか返して、ウーロン茶を一気飲み。
唇はひりひりするし・・・
ん?
ウーロン茶の味が変・・・
てか、これ、ウーロン茶じゃないだろ・・・
「これって・・・」
「ウーロンハイでしたー☆」
一気飲みなんかしちゃったから、酔いが回る回る。
やばいなぁ、やばいなぁ・・・と思いながらも、その反面、ま、いっか。とか思う自分もいたりする。
その後は余り覚えて無くて。
ただ。
気づいたら、23時回ってて・・・
あたしは、一気に酔いが醒める。
うるさくて聞こえなかったけど、携帯にはメールも着信も留守電も・・・
全部、あいつから。
「あの、あたし帰りますね、電車なくなっちゃうんで」
「いやー、タクシーがあるだろうー」
とか、別の上司に言われながら、あたしはあわてて外に出た。
エレベーターの鏡で顔を確認する。
赤い・・・
一人で「らりるれろ」とかつぶやく。
よし、ろれつは回ってる!
待ち合わせの場所に行くと、すでにいなかった・・・
当たり前だー・・・
メールは「まだ?」「何してるの?」「30分経過です」とかで、留守電も「どうした?」「しらねーからな」と言う言葉で終わってて・・・
すぐに電話する。
でも、電源が切ってあるらしく・・・
はー・・・やっちゃった・・・
タクシーであいつの家に行くか。
と思ったら電話。
Kさんから。
「今どこ?」
「今、タクシー乗り場です」
「電車あるでしょ?」
「はぁ、まぁ」
あたしの家に帰るには、電車がある。
でも、あいつの家に行くにはバスかタクシーしかない。
バスは、もう終わってた。
「タクシーで帰るなら、もう少ししたらみんな同じ方面多いんだし、一緒に行けばいいじゃん。だから、戻っておいでよ」
「うーん・・・いえ、ちょっと気分が悪いんで・・・」
「そうなの?そんなに飲んでました?」
「飲んでたじゃないですか〜・・・Kさんが無理矢理飲ませるから、酔いましたよー」
「りりかさん、酔うとかわいいから、ついつい。ごめんなさいー」
「酔うと可愛いって、一応あたしの方が年上なんですけど?」
笑いながら話す余裕も出てきて、そんな会話してたとき。
いきなり携帯が飛んだ。
違う。
飛んだような、「感覚」。
何が起こったか分からないまま、あたしは後ろを振り向く。
「あ・・・」
「あ。じゃねーよ」
あたしの携帯を持ってるあいつがいた。
殴られる!?
と思って、あたしは目をつぶる。
でも、携帯で頭をこつん、と叩かれた。だけ。
「殴りたいのは山々だけど。女を殴ったりしないから。俺って紳士的だろ?」
明らかに、表情は怒ってた・・・
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