march forward.
りりかの独り言。

2002年11月06日(水) 空回り

今度の金曜、職場の送別会がある。

もちろん、職場の、だから、あいつは出席なんか出来ない。

その事を、凄く凄く心配している。

あたしが「大丈夫だってー」と言っても、「りりかさんは、弱いくせに飲んで、酔って、隙が出来て、記憶なくすからなぁ・・・」と言われる。

そんな、上司の前でなくしません(笑)



言い合ってた。


行くなとは言わないけど、酔わないで、迎えに行かせて。

分かった、酔わない。迎えに来てもらう。



何がいやって・・・

あいつの嫌いなマネージャーが来るから。(過去日記6/14参照)

あの時、行かないって約束はしたけど、今回のは仲間内、とかじゃなく、職場の、だから、行かないとも言えないあたし。

それを、あいつは分かっている。

だから、いくなって事は言わない。



あいつとマネージャーがなんでそんなに仲が悪いのか、あたしはよく知らなかった。

仕事中、喧嘩になったとか、言い合いになったとか、そう言う話をちょっと聞いただけ。

「なんで嫌いなの?」

「合わないの!」

だけしか、答えてくれない。






「りりかさんを迎えに行ったときに、酔わなかったら、いい物あげるー」

「何々??」

「それはお楽しみだよ」

「そう、ならいいけど、それでも」

「もっと突っ込んでよー・・・今知りたいのぉ♪とか言ってよ・・・」

「言わない。酔わない自信あるから、そのいい物はあたしの物になるのは確実だから」

「でも、本当は今知りたいんでしょ?ね、知りたいんでしょ?」

「・・・君が言いたいだけじゃん?」

「あたりー」

「・・・。」





あいつが「目を閉じて」と言う。

あたしは言われた通りにする。

手のひらに何かおかれる。

「目を開けていい?」

「待って。開ける前に、何だと思う?」

「んー・・・」

あたしは両手でちょっと触っただけで、分かった。




「カギ・・・?」

「お、すげー!って、すぐ分かるか」




あたしは、目を開けて、手のひらを見た。

カギ。

キティちゃんのキーホルダー付けてあって。



「うちのカギ。俺がいなくても、入れるように」



あたしは黙ったまま。

カギを見つめて。



そして、ゆっくり言った。



「もらえない」




あいつが、笑顔から真顔になった事に、あたしの胸がものすごく痛んだ。

あたしは、もう一度言う。

「ごめん、もらえないよ」



カギを、テーブルの上におく。



「なんで?」

あいつが、不思議そうに聞く。

なんで・・・って。




「こう言うの、今はまだ、無理。あたしが、君の合いカギ持ってるなんて、おかしいでしょ?」

「おかしい?」

「うん、おかしい。なんか、あたしはそう言うの、まだ出来ないや」




嬉しかったのは、確か。

カギなんてくれたのは、本当に嬉しい。

でもね。

あたしが、君の部屋のカギをもらったりする事は、おかしいと思う。

だから、今はまだ、もらえない。


逆に。

あたしの部屋のカギをくれって言われても、それはもちろん無理。




変なとこに、こだわってしまう。

ごめん。





「なーんだ、俺一人の空回りかぁ」

あいつは、笑顔になって言った。

無理矢理、作ってる、笑顔。





家に帰って、あいつからメール。

「本当に、カギを渡すこと、俺なりにいろいろ葛藤した結果なんですよ。他人にカギを渡した事なんか、今まで一度もなかったから。でも、りりかさんには持っていて欲しいって思ったんです。重たく感じちゃった?ごめんね。」



ごめんね。

は、あたしが言う言葉だよ。




あいつが、一人でカギ作りに行って、キーホルダーを選んで。

そんな光景を想像したら、凄く切なくなった。

素直にもらっておけばよかったのかもしれない。

そう思ったりもした。



でも。

あたしは、なんだかそう言うのが嫌だった。

同棲とか、半同棲とか。

そういう形になっちゃうのがいやだった。

カギなんか渡したり、受取ったりしたら。

知らない間に来られてたり。

うち掃除しといて、なんていわれたり。

そんなことないかもしれないけど、絶対ないとも言い切れないし。



そして、そのまんま。

ずるずる、「もう二つ部屋借りてるのも、経済的にもったいないから、一緒に住んじゃおう」とかなるのが怖かった。




あたしが、勝手に想像しているだけだけど。





空回りしているのは、あたしだよ。

勝手に想像を膨らませて、君を傷つけて。




「いつか、あたしの気持ちが落ち着いて。そして、相応しい人間になったら。そしたら、あたしにカギをください。お願いします」




ああー。あたしって、不器用だなぁ・・・。


 < back  INDEX  next>


りりか [MAIL]

My追加
エンピツ