会うのが怖いなんて、何でだろう。
初めてじゃない。
会うのが怖いと思った事、初めての事じゃない。
前にもあった。
それは、あたしが別れを言った日。
あたしは、駐車場に迎えに来てくれたあいつにあった瞬間から、「ごめんね・・・」をいい続けてた。
あいつは黙って、あたしの腕を取った。
いつもは手をつなぐのに、今日は腕を持たれるって言う感じだった。
あいつの部屋で、あたしはいきなりキスされた。
その上、胸を触ろうとした。
びっくりして、逃げようとしたら、捕まえられて、押さえられた。
「ちょっと!飲んでるの?!」
あたしが、怒鳴った。
「飲んでるわけないじゃん」
あいつは冷静に返してくる。
そして、あたしの着ていた服をまくりあげる。
「やめて!絶対に嫌、やめて!やだってばー!!!」
あたしは、ほとんど叫び声に近い。
あいつは、やめない。
スカートをまくる。
そして、あたしは泣いた。
あいつに腕を押さえられたまま、あたしは泣いた。
あいつは、しばらくそのまんま。
あたしを見てた。
涙がどんどん流れて。
耳に伝って、髪も塗れた。
あいつとする、セックスは嫌いじゃない。
あたしはセックスが嫌いと言うか、興味がわかなかったけど、あいつとは嫌いじゃなくなってた。
それは、あいつが一方的にしないから。
絶対に、あたしの嫌がる事はしないし。
あたしのためにっていう感じでするから。
セックスって、女は本来受身だから、そう言うちょっとの事で、変わる。
だから、あいつのセックスはいやじゃなかった。
あたしのために。
あたしが感じる場所を一生懸命さがそうとして。
あたしがここまでにしてって言えばやめてくれて。
たまに言う「大丈夫?」って言葉もあたしには安心出来て。
なのに、こうして、あたしは無理矢理やられそうになって。
凄くショックだった。
凄く怖かった。
だから、泣いた。
「りりかさん・・・こうして、抵抗されたら、出来なくなるんだよ、ましてや好きな人に。キスだって、最初だけで、抵抗されて、出来なかったでしょ。りりかさん、分かる?」
あたしの腕を離して。
あたしの髪をなでた。
あたしの頬をなでる。
「ごめんなさい。こんな風にしちゃって、ごめんなさい」
あいつは、謝る。
謝らなきゃいけないのは、あたしなのに。
あたしは、あいつを抱き寄せた。
そして、ぎゅっと、抱きしめた。
あいつも、あたしを抱きしめ返してくれた。
「もう・・・絶対にしないから。絶対に、何かあってもいいとか思わないから。H君だけにしか、思わないから。ごめんなさい・・・」
あいつは、あたしの頭をなでながら、頷く。
「揺れそうな感情になったとき。俺の事を思い出してよ。ね?」
いつもの。
あたしが好きな笑顔に戻る。
あたしも、笑顔になる。
「一緒にお風呂入ろうか?」
あいつが笑いながら言う。
「絶対にイヤー」
「だよねー・・・」
がっかりした顔になる。
あたしはそれを見て、また笑う。
「あとで、呼んだら、入って来ていいよ」
びっくりして、こっちを見る。
「マジで??」
「うん、マジで」
あたしたちは、一緒にお風呂なんか入ったことない。
恥ずかしい。
どんなに痩せてても、スタイルいいね(胸以外)とか言われても。
どんなに若作りしても。
それは外見だけで。
脱いだら。
あたしはやっぱり子供を3人産んだから。
妊娠線があるし。
そう言うのを明るい場所で見られるのが恥ずかしかった。
だから、今まで絶対に嫌!って言い張った。
けど、なんとなく。
この人には何でもさらけ出したいな、と思った。
「じゃ、呼んだら、とかじゃなくてさ。場所変えない?」
「場所ー?」
「うん、ラブホに行こうよ!二人で行ったことないじゃん!」
「えぇー!??」
「ね、そうしよう!りりかさん、上着着てー。行くよー」
「だって、どこのよ?」
「適当に車で流して、左側にあった5件目のラブホに入るって言うのはどう?」
「はぁ・・・いいけど」
ラブホテルなんて、何年ぶり?
すごくすごく、久しぶりな事は確か。
初めて一緒に入るお風呂が、ラブホテルって言うのも・・とか思ったけど、テンションが高かった事もあって、行く事にした。
その話はまた明日の分で書きます。
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