仕事の時間がどんどん近づいている。
今日は、時間の進み方が倍速以上なんじゃないのかって思うくらいに。
早く過ぎて行ったように思えた。
「もうそろそろ出なきゃ、遅刻しちゃうから」
こんなときも、仕事を休まない、遅刻しないあたしは、どうしようもないと思う。
でも、休もうと思えば、今日は休めた。
変わりもいたし、休めたのに。
あたしはあえて休まない決断した。
それは、やっぱり。
このままだらだらいても、辛いだけだから、と思ったから。
「今まで。本当にありがとう」
あたしは、あいつの部屋においてあった、自分の荷物を持つ。
「駐車場まで、持ちますよ」
って、言ってくれるあいつに。
あたしは。
「ここでいいから」
って言った。
もう。
泣かないんだ。
あたしは、泣かないで。
ここで、ばいばい、するんだ。
「じゃ、玄関まで・・・」
あたしもうなづいて。
「じゃ、玄関まで」
って返事した。
靴をはいていたら。
後ろから思い切り抱きしめられる。
あたしは、あいつの腕を軽く叩いて。
言った。
「元気でね」
泣かないって決めたから。
必死でこらえた。
でも、あいつは泣いてた。
あたしの後ろで。
泣き声で。
言った。
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