昨日の日記の続きです。
あたしは、仕事中も、ついつい考えちゃって。
あいつが言った事、聞かないで仕事に来ているのに、こんなんじゃ意味無いじゃんね。
周りのみんなも、あたしがなんかおかしいって気づいてたし。
今日は、早く仕事を終えて帰った。
家についたら、だんな様から電話がかかって来た。
「夜帰る」
「はい」
すごく、怖かった。
何話すんだろう。
何されるんだろう。
とてつもなく、早い時間に感じた。
3時間くらいあったのに。
あたしは落ち着かなくて、掃除とか洗濯とか、とにかくいろいろやってた。
子供たちを連れて、だんな様が帰って来た。
子供たちは、疲れていたらしく、すぐに寝ちゃって。
あたしは、だんな様と二人になった。
話をするのが怖くて、あたしはいつもはしない場所を掃除したりして。
だんな様も寝室にいた。
だんな様もあたしと話をしたくないのかな・・・と思って、少し安心したりした。
洗面所で雑巾を洗って、リビングに戻ってきたら、だんな様がいた。
どきーんとした。
「こんな時間に掃除?」
「うん、気になったから」
また掃除する手を動かす、あたし。
「ねぇ、座って話さない?」
「うん・・・」
仕方なく、あたしはだんな様の前に座った。
「俺の事、好きじゃない?」
「・・・。家族としては、好き」
「家族として?」
「うん・・・」
「それだけ?」
「父親として、尊敬しています」
「うん」
「でも、男としては、どうしても、見れない」
「そか」
「あなたは、あたしを、女として見ているの?」
「見てるよ」
「嘘!」
「見てたよ、ずっと。ただ、うまく女として扱ってやれ無かったって言うのが本音かな。子供たちの母親として、接する事は簡単に出来るのに、恥ずかしいからか、女としては接するのが下手だった」
「あたしは、ずっと見て欲しかったよ」
「うん、そうだね、ごめん。俺は今でも、りりかを愛しているんだ」
「あたしは・・・」
「うん?」
あたしは。
もう、無理。
きっと、愛する事は出来ないんじゃないか。
「あたしは、家族愛しかない。きっとこれからも」
「それは、大学生がいるから?」
「違うよ。もし、彼と別れても、あたしはあなたを愛する事は難しいと思う」
いつの間にか、溝が出来てしまった。
あたしたちの12年間は、距離が出来てしまった。
そして、その距離をもっと長くしたのは、あたし。
その距離は、縮まない。
あたしたちは、いつの間にか、別々の道に進んでいたんだ。
戻ろうと思えば、戻れるのに。
あたしは、戻ろうとしなかった。
戻りたくなかった。
「どうするの?りりかは、どうしたいの?」
「その大学生と一緒になりたいの?」
「それとも、俺とやり直したいの?家族愛だけでもいいから、俺は一緒にまたやって行きたい」
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