march forward.
りりかの独り言。

2002年08月14日(水) あたしたちの距離

昨日の日記の続きです。



あたしは、仕事中も、ついつい考えちゃって。

あいつが言った事、聞かないで仕事に来ているのに、こんなんじゃ意味無いじゃんね。

周りのみんなも、あたしがなんかおかしいって気づいてたし。




今日は、早く仕事を終えて帰った。

家についたら、だんな様から電話がかかって来た。

「夜帰る」

「はい」



すごく、怖かった。

何話すんだろう。

何されるんだろう。



とてつもなく、早い時間に感じた。

3時間くらいあったのに。

あたしは落ち着かなくて、掃除とか洗濯とか、とにかくいろいろやってた。



子供たちを連れて、だんな様が帰って来た。

子供たちは、疲れていたらしく、すぐに寝ちゃって。

あたしは、だんな様と二人になった。

話をするのが怖くて、あたしはいつもはしない場所を掃除したりして。

だんな様も寝室にいた。

だんな様もあたしと話をしたくないのかな・・・と思って、少し安心したりした。




洗面所で雑巾を洗って、リビングに戻ってきたら、だんな様がいた。

どきーんとした。



「こんな時間に掃除?」

「うん、気になったから」



また掃除する手を動かす、あたし。



「ねぇ、座って話さない?」

「うん・・・」





仕方なく、あたしはだんな様の前に座った。




「俺の事、好きじゃない?」

「・・・。家族としては、好き」

「家族として?」

「うん・・・」

「それだけ?」

「父親として、尊敬しています」

「うん」

「でも、男としては、どうしても、見れない」

「そか」

「あなたは、あたしを、女として見ているの?」

「見てるよ」

「嘘!」

「見てたよ、ずっと。ただ、うまく女として扱ってやれ無かったって言うのが本音かな。子供たちの母親として、接する事は簡単に出来るのに、恥ずかしいからか、女としては接するのが下手だった」

「あたしは、ずっと見て欲しかったよ」

「うん、そうだね、ごめん。俺は今でも、りりかを愛しているんだ」

「あたしは・・・」

「うん?」




あたしは。

もう、無理。

きっと、愛する事は出来ないんじゃないか。




「あたしは、家族愛しかない。きっとこれからも」

「それは、大学生がいるから?」

「違うよ。もし、彼と別れても、あたしはあなたを愛する事は難しいと思う」




いつの間にか、溝が出来てしまった。

あたしたちの12年間は、距離が出来てしまった。

そして、その距離をもっと長くしたのは、あたし。

その距離は、縮まない。

あたしたちは、いつの間にか、別々の道に進んでいたんだ。

戻ろうと思えば、戻れるのに。

あたしは、戻ろうとしなかった。

戻りたくなかった。



「どうするの?りりかは、どうしたいの?」

「その大学生と一緒になりたいの?」

「それとも、俺とやり直したいの?家族愛だけでもいいから、俺は一緒にまたやって行きたい」








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「でもね。彼と一緒になろうなんて思っていない。あなたと別れても」

「母子家庭で、やって行くの?彼と付き合いながら?」

「そのつもり」

「俺が絶対に別れないって言っても、りりかは、彼と付き合い続けるの?」

「・・・」

「どうなの?」

「別れたくない」

「彼と?」

「うん」




めまいがした。

ものすごいめまいと吐き気がした。

たぶん、自分に対して、嫌悪感を感じているんだと思う。

分からない分からないっていいながらも。

あたしは、あいつとは別れないってはっきり言う。

何を、あたしは望んでいるんだろう?

自分が分からなくなる。



俺と別れるの?

って聞かれたら分からないって言うのに。

俺は別れないよ?

って言われたら、あたしも彼とは別れたくないって言う。





だんな様は大きなため息をついて、寝室に戻って行きました。

あたしは、何がしたいんだろう?


あたしたちの溝は、距離は。

努力したら埋められるの?縮まるの?

そうすることが、一番いい結果になるの?



子供たちの寝顔見ながら思った。

努力しなきゃなの?






その努力の第一歩は、あいつと別れる事から始まるとしても。


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