あたしは、緊張しまくっていた。
後悔もしまくってた。
どうしよう、嫌な顔されたら・・・とか、嫌いだなって思われたら・・・とか。
なにより、「こいつ(ライラ)邪魔だな」って思われるのが、嫌だった。
どうしよう、どうしよう。
16時、妹と待ち合わせ。
あいつには、16時10分って言ってあった。
もしも妹より先に来て、ライラとあたしとあいつの三人でいる時間が出来たら、凄く嫌だったから。
だいたい、ライラには妹のお友達って事にするんだし。
予定の時間よりやっぱり早くあいつは来ました。
危なかった・・・
あたしの方が5分先に妹と会っていたので。
まず、自己紹介。
「ライラ、ひなちゃん(妹)のお友達だよ」
ライラは人見知りをあまりしない子なので、いつもどおり人懐っこく「ライラです」って自分から挨拶。
あいつも、きっと緊張していたんだろうなぁ。
「あ、Hです!」
大声で(叫びに近い)普通に名前言ってたし。(笑)
身長184センチのあいつと、110センチのライラ。
ものすごい身長差のこの2人の男は、互いに照れ笑い・・・
妹が急遽、車で行こうっていいだして、車を取りに行くからって、15分ほど3人きりに。
ああ・・・空気が・・・空気が。
ライラはいつもどおり、一人で歌を歌ったり踊ったり。
それをニヤニヤしてながら見ているあいつ。
「べ、別に、頭がおかしい子供、とかじゃないんだからね!!五歳って言ったら、こう言うことするんだからね!!!一人遊びとかするんだってばー」
あたしは、必死になってるし。
そのとき、道路の向こうで鳥かなんかを見つけたライラが飛び出そうとした。
あたしは、空気が重いって事ばっかり考えてて、ちゃんと見て無かった。
そしたら、あいつがさっと走って、ライラの腕をつかんだ。
「やだ、危ない!」
あいつの行動より、1テンポ以上遅れた、あたしの声。
「ライラ、ここ車来るからね。もうちょっと下がっていようね」
あいつが言った。
あたしは、ドキドキしてた。
「ごめん、ちゃんと見てなかった・・・」
あたしの言葉なんか耳に入ってない様子で、しゃがんでライラと会話しているあいつ。
ライラの手をちゃんとつないでいる。
なんか・・・ちょっと、変な光景だった。
妹が来て、車に乗り込んだ。
なんとなくいつもの癖で、妹の隣(助手席)にあたしは乗り込んじゃって、自動的にあいつとライラは後ろ。
乗り込んで、走ってから気づいた。
「ああ!!!あたしが後ろに行くべきだったね!!」
って、いいながら振り返ったら、あいつは、ライラの頭に手を乗せて、よしよししながら、ライラがやっているゲームボーイをのぞきこんでた・・・。
心配する必要、無しか・・・
そのうち、ライラはお昼寝しちゃって。
あいつは、ひざにライラの頭を乗せて、やっぱりよしよししている。
あいつ:「俺さ」
あたし:「ん?」
あいつ:「こんな小さい子、相手にするの、初めてなんだ」
妹:「えぇ?そうなの???そんな風に見えない。すっげー自然だし、慣れているのかと思ったよ」
あいつ:「ううん。初めて。でも、電車とか街中で見かける、これくらいの子供とか、余り意識しなかったけど、ライラはめちゃめちゃかわいいなぁって思っちゃう。ひなちゃん(妹)が、ライラって可愛いんだよー、よその子供と比べても全然可愛いって言ってたの聞いたとき、身内ひいきだろう?って思ってたけど、違うね、マジで可愛い・・・」
妹:「ライラの網に掛かったね、Hちゃんも(笑)」
花火会場について、花火を見ているとき、ライラがトイレに行きたいといいだした。
妹が連れて行こうとしたら、あいつが「俺もしたいし、一緒に行くよ」って連れていった。
なかなか帰ってこないなぁって思ってたら、二人でジュース飲みながら帰って来た。
「遅かったね。お兄ちゃんに買ってもらったの?ありがとした?」
「うん。あのね、お兄ちゃん、道に迷っちゃったの」
「あっ!それは言わないって約束だったじゃんー」
「迷うなよ・・・」
「いや・・・暗かったんで・・・」
あいつがあぐらをかいて、
「ライラ、ここに座りなよ」
って、自分のひざに乗せる。
ごくごく、自然に。
ライラもちょこんって、ひざに座って、二人でなんか会話しながら花火観賞。
そのうち、ライラがあたしの所に来て、「ジュース持ってて」って言ってきた。
ふと見ると、ズボンが濡れてる。
「何、どうして?」
「ああ、さっきトイレでおしっこ掛かっちゃったんだよね」
「誰の???」
「俺のわけないじゃん!ライラの自分のだよー」
てか。
おしっこで濡れているズボンをはいている他人の子供を、普通にひざに乗せたり、抱っこ出来たり、すごいな、こいつって・・・と、少し感動した。
親のあたしだって、ちょっと引いちゃうのに。
「Hちゃん、すごいね・・・私だって嫌だよ・・・」
妹が言う。あたしもうなずく。
「だって、子供のおしっこなんか別に汚くないし、大体洗えば済む話じゃん?」
そりゃ、そうだけど・・・
それから、夕飯食べて、帰宅した。
帰りの車の中でも、ライラとあいつは、楽しそうに会話してた。
あたしが、話しかけても聞いてないくらいに、集中して。
あいつを先に送って、あいつが降りるとき、
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