march forward.
りりかの独り言。

2002年08月03日(土) 子供に妬む

あたしは、緊張しまくっていた。

後悔もしまくってた。

どうしよう、嫌な顔されたら・・・とか、嫌いだなって思われたら・・・とか。

なにより、「こいつ(ライラ)邪魔だな」って思われるのが、嫌だった。

どうしよう、どうしよう。



16時、妹と待ち合わせ。

あいつには、16時10分って言ってあった。

もしも妹より先に来て、ライラとあたしとあいつの三人でいる時間が出来たら、凄く嫌だったから。

だいたい、ライラには妹のお友達って事にするんだし。



予定の時間よりやっぱり早くあいつは来ました。

危なかった・・・

あたしの方が5分先に妹と会っていたので。



まず、自己紹介。

「ライラ、ひなちゃん(妹)のお友達だよ」

ライラは人見知りをあまりしない子なので、いつもどおり人懐っこく「ライラです」って自分から挨拶。

あいつも、きっと緊張していたんだろうなぁ。

「あ、Hです!」

大声で(叫びに近い)普通に名前言ってたし。(笑)



身長184センチのあいつと、110センチのライラ。

ものすごい身長差のこの2人の男は、互いに照れ笑い・・・

妹が急遽、車で行こうっていいだして、車を取りに行くからって、15分ほど3人きりに。

ああ・・・空気が・・・空気が。

ライラはいつもどおり、一人で歌を歌ったり踊ったり。

それをニヤニヤしてながら見ているあいつ。

「べ、別に、頭がおかしい子供、とかじゃないんだからね!!五歳って言ったら、こう言うことするんだからね!!!一人遊びとかするんだってばー」

あたしは、必死になってるし。



そのとき、道路の向こうで鳥かなんかを見つけたライラが飛び出そうとした。

あたしは、空気が重いって事ばっかり考えてて、ちゃんと見て無かった。

そしたら、あいつがさっと走って、ライラの腕をつかんだ。

「やだ、危ない!」

あいつの行動より、1テンポ以上遅れた、あたしの声。

「ライラ、ここ車来るからね。もうちょっと下がっていようね」

あいつが言った。

あたしは、ドキドキしてた。

「ごめん、ちゃんと見てなかった・・・」

あたしの言葉なんか耳に入ってない様子で、しゃがんでライラと会話しているあいつ。

ライラの手をちゃんとつないでいる。

なんか・・・ちょっと、変な光景だった。



妹が来て、車に乗り込んだ。

なんとなくいつもの癖で、妹の隣(助手席)にあたしは乗り込んじゃって、自動的にあいつとライラは後ろ。

乗り込んで、走ってから気づいた。

「ああ!!!あたしが後ろに行くべきだったね!!」

って、いいながら振り返ったら、あいつは、ライラの頭に手を乗せて、よしよししながら、ライラがやっているゲームボーイをのぞきこんでた・・・。

心配する必要、無しか・・・



そのうち、ライラはお昼寝しちゃって。

あいつは、ひざにライラの頭を乗せて、やっぱりよしよししている。

あいつ:「俺さ」

あたし:「ん?」

あいつ:「こんな小さい子、相手にするの、初めてなんだ」

妹:「えぇ?そうなの???そんな風に見えない。すっげー自然だし、慣れているのかと思ったよ」

あいつ:「ううん。初めて。でも、電車とか街中で見かける、これくらいの子供とか、余り意識しなかったけど、ライラはめちゃめちゃかわいいなぁって思っちゃう。ひなちゃん(妹)が、ライラって可愛いんだよー、よその子供と比べても全然可愛いって言ってたの聞いたとき、身内ひいきだろう?って思ってたけど、違うね、マジで可愛い・・・」

妹:「ライラの網に掛かったね、Hちゃんも(笑)」



花火会場について、花火を見ているとき、ライラがトイレに行きたいといいだした。

妹が連れて行こうとしたら、あいつが「俺もしたいし、一緒に行くよ」って連れていった。

なかなか帰ってこないなぁって思ってたら、二人でジュース飲みながら帰って来た。

「遅かったね。お兄ちゃんに買ってもらったの?ありがとした?」

「うん。あのね、お兄ちゃん、道に迷っちゃったの」

「あっ!それは言わないって約束だったじゃんー」

「迷うなよ・・・」

「いや・・・暗かったんで・・・」



あいつがあぐらをかいて、

「ライラ、ここに座りなよ」

って、自分のひざに乗せる。

ごくごく、自然に。

ライラもちょこんって、ひざに座って、二人でなんか会話しながら花火観賞。

そのうち、ライラがあたしの所に来て、「ジュース持ってて」って言ってきた。

ふと見ると、ズボンが濡れてる。

「何、どうして?」

「ああ、さっきトイレでおしっこ掛かっちゃったんだよね」

「誰の???」

「俺のわけないじゃん!ライラの自分のだよー」



てか。

おしっこで濡れているズボンをはいている他人の子供を、普通にひざに乗せたり、抱っこ出来たり、すごいな、こいつって・・・と、少し感動した。

親のあたしだって、ちょっと引いちゃうのに。

「Hちゃん、すごいね・・・私だって嫌だよ・・・」

妹が言う。あたしもうなずく。

「だって、子供のおしっこなんか別に汚くないし、大体洗えば済む話じゃん?」

そりゃ、そうだけど・・・




それから、夕飯食べて、帰宅した。

帰りの車の中でも、ライラとあいつは、楽しそうに会話してた。

あたしが、話しかけても聞いてないくらいに、集中して。

あいつを先に送って、あいつが降りるとき、





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あいつは、最上級の笑顔で、手を振って、「またね!!」って何度も言ってた。





帰宅後、あいつにメールした。

「今日はありがとうね。疲れたでしょ?」

「ううん、全然。むしろ、楽しかったねぇ。ライラ、めちゃめちゃ、かわいいねぇ」

「うん、そうでしょ、あたしもそう思う!」

「今日は、りりかさん、疲れたでしょ?早く寝なね。いっぱい歩いたもんね」

「うん、そうだね。あたし、よかったと思う。今日、君とライラが会った事。最初はめちゃくちゃ緊張してたんだけど」

「緊張?何で?」

「だって、ライラの事、邪魔扱いとかしたりとか、嫌な顔とかされたら、悲しいから、そうだったらどうしようって緊張した。でも、いっぱい相手してくれてありがとう」

「いえいえ。本当に楽しかったよ。相手してあげた、なんて感覚無いもん。むしろ、相手にしてもらってた(笑)」

「あたしは、相手にされなかったけどねー」

「妬かない、妬かない」

「ばーか」



あたしは、今日はほとんど相手にされなくて、生理って事で、お腹痛いっていうと、「平気?」って声を掛けてくれるから、必要以上にいってしまった部分も会ったから。



嫉妬したのかも。(笑)



ライラは帰宅後、だんな様に

「ひなちゃんのお友達のお兄ちゃんと、花火一緒にいったの。楽しかったよ。いっぱい遊んでくれたの」と報告してた。

だんな様は全く疑わず(妹に男友達がたくさんいる事は知っているし)、「よかったねー」で、おしまい。



あたしはちょっと、ドキドキした。


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