march forward.
りりかの独り言。

2002年07月15日(月) 逃げてばかり

悩んだまま、帰宅して。(昨日の続きです)


あたしは、あたしと別れた方が、きっとあいつもいいに決まっていると思う方向に考え始めていた。

あいつからメールが来て。

「俺の気持ちは言ったとおりです。りりかさん、考えるのもいい事だけど、俺の気持ちも少しは尊重して」




まったく、やらない関係になるのが、あたしは一番あたしが楽だと思っている。

でも、それじゃ、あいつがかわいそう。

いつ出来るか分からない挑戦を続けるのも、あたしが辛い。

だったら。

あたしじゃない人と付き合うのが一番手っ取り早いんじゃないの?



そんな考えに達してて。

その考えはあいつの意見は尊重されてないかって言ったら、そうでもないと思い込んで。


だって、嫌がらない相手を選べるんだし。

だって、あたしじゃなきゃ、出来るんだし

・・・こればっかり。考えて。






深夜だと言うのに、パソコンの周りを掃除してた。

そしたら、今の仕事を始めたばかりのころの日記を見つけた。

大学ノートに、だらだら書いてた日記。

25歳のあたしが、書いてた日記。

1年くらい書き続けてあった。

暇つぶしに、なんとなく読んでた。

仕事が出来なくて、悩んでいる事ばかりが最初は書いてあった。

そのうち、新しくオープンした、今の店に移動になる。

そして、仕事を任され始める。

仕事と家事の両立の難しさに悩んでいる事も書いてあった。

「どっちか、ほったらかしちゃえば、いいのにね」

なんて、書いてあって。


あたしが、今の店に来る前に働いてたところにいた人の話が出始めた。


彼は、あたしより2つ下だった。

当時23歳。今のあいつと一緒だね。

あいつと同じで留年してて。彼の場合はどうしてもやりたい仕事に就職できなくて、そのまま大学に残ったんだけど。決して、誰かさんみたいに、単位が足りなくて、じゃないんだけど!


彼(Sさん)は、仕事の上で、大先輩だった。

あたしは、仕事が出来るのに鼻に掛けず、一生懸命なSさんを尊敬してた。

いろいろな事を教えてもらった。

あたしは、なんとなく好意を持ってた。

でも、あたしは主婦だし、そんなことを出さないように、出さないように接してた。


でも、あたしが移籍することになって、その送別会から、あたしたちは急激に仲良くなる。



メールのやり取りも、しょっちゅうする事になる。

同じ銀行を使っているから、行く時間を合わせて、数十分の会話を楽しむ。

Sさんが言う。

「秘密のデートだね」


あたしの気持ちが、Sさんに向いて行くのが、日記を見てて、手に取るように分かる。



Sさんも、同じだったんだと思う。



ある日の日記に。


「好き。」って言うメールが来た。あたしは、あたしに言われているって分かってたけど、怖くて。「あたしも飲み会とか好きだよ」と、訳の分からない答えをしてごまかした。


というのがあった。



そのうち、あたしはSさんの気持ちが怖くなる。

重くなる。



あたしの誕生日に携帯のストラップをもらう。

「俺もお揃いにしたんですよ」




あたしは、つけなかった。

つけられなかった。



あたしみたいなの、好きなってどうするの?

あたしは、主婦なんだし。

Sさんのためだよ、辞めた方がいいよ。



そう思って、あたしは、メールをしなくなった。

銀行でも時間をずらすようになった。


「避けてる?」

こんなメール来ても、返さなかった。


きっと、忘れるよ、すぐ。

傷が浅いうちに、あたしなんか、忘れてね・・・




そして、最後の日記に。




「あたしは、苦しい。苦しくて、苦しくて。でも、苦しい事ばかり考えているあたしが、あたしじゃないみたいで。あたしさえ、我慢すれば、うまく行くんだから。あたしは、あたしのために。Sさんのために。こんな気持ちは捨てよう」




そこで、日記は止まってた。




あたしが思った事。






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自分の苦しさから解放されるために。

自分の生活の安定を守るために。


一番苦しいのはあたし、見たいに書いてあるけど。

あたしだけじゃない。

きっと、Sさんも苦しかったはず。

ただ、あたしは、好きだと言わなかった。言えなかった。


だから、深くはあたしを想っていなかったと思う。

あいつと違って。



で。

気づいた。



また、あたし、逃げようとしてる・・?





出来ないとか、あたしじゃだめなんだから、とか言う口実で。

実はあいつのためだとか何とか言っても、結局自分が辛いからで。




逃げてる・・・



いいの?あたしは、逃げてばかりでいいの?

嫌な事、苦しい事あっても、ちゃんと、真っ直ぐ。


たまには、ぶつかって見たら?



あたしは泣いた。

夜中に昔の日記読み返して、考えて、泣くなんて。バカっぽいけど。


いっぱい泣いた。



25歳のあたしに教えられた。




「逃げてばかりだったよ、今まで。これからも?」









逃げないよ。あたし。


あいつにメールした。


「???何?」

ほんと、わけ分からないね。ごめん。


「なんだかよく分からないけど。でも、いい事なんだよね?ね??」



これでよかったのか悪かったのか、分からないけど。

あたしは、逃げないで。今好きな人と別れる、なんて事を考えたくない。



「うん、そうだよ!俺ね、考えました。病院行きます。でー、何が原因か見てもらいますよ。何科だろう・・・」

「泌尿器科じゃない?」

「ああー。そうかも。行きますよ!それで、出来るようになったら、りりかさんも、悩まず、俺も悩まず。万事うまくいくんじゃん。最初からそうすりゃーよかったんだなぁ」





今は、逃げないんだーなんて考えているけど、また逃げ出したくなるときが絶対に来る。

そんなとき、あたしはまた、思い出せばいい。


逃げてばかりでいいの?

それじゃ、何も変わらない、何もない、そんなまんま、終わっちゃうよ?



あたしの人生が。


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