朝から貧血で、ふらふらしてた。
でも、友達とランチに行く約束してたから。
久しぶりに会う友達だったし、あたしの事も凄く心配してくれてたから、頑張って行った。
ランチの最中にあいつからメールが来た。
就活で会社説明会に行っているらしい。
頑張っているなぁっておもう。
友達と別れた後、気分もよくなったし、ビーズの本を買いに、デパートに行った。
子供たちの水泳の授業に使う、バックも買いたかったし。
バック買って、本を選んで、さぁ、保育園のお迎えに・・・・と思ってエレベーターに乗り込んだとき、なんだか周りが暗い。電気が切れているのかな、切れ掛かっているのかな、位に思ってた。
エレベーターが目的の階について、ドアが開いたとき。
そこは真っ暗だった・・・・
え・・?何が起こっているの?
火事?何?停電????
今まで薄暗かったエレベーターの中も、すでに真っ暗。
呆然として、突っ立ってた。
「降りないんですか?」
後ろから人の声がする。でも、ずいぶん遠くから。
あたしの目だけが変なんだ、と気づいた。
「お、降ります・・・」
答えるのがやっと。
本能的に、前に進めば、ぶつからないと判断して、恐る恐る進んだ。
後ろでドアが閉まる音がした。
あ、降りたんだ。
そう思ったとき、意識が遠のいていくのが分かった。
必死で手を延ばして、壁を探す。
倒れちゃだめ、倒れちゃだめ・・・
壁が手に触れて、あたしはそこにより掛かった。
目をきつく閉じた。
開いてても、閉じていても、真っ暗な事は変わりない。
どうしよう。視力がなくなっちゃったのかな。
何かで聞いた事がある。
精神的なストレスで、視力を失った人の話。
どうしよう、どうしよう・・・・・・
どれくらい、そうしていただろう?
周りのざわめきが聞こえてきた。
「大丈夫ですか?」
ゆっくり、目を開ける。
OL風の若い女性が、ぼんやり見えた。
・・・よかった。見えた。
「大丈夫です・・・すいません」
ふらふらした足取りで、駐車場に向かう。
ドアを開けて、車に乗り込む。
深くシートに腰掛けたとき、普段余り汗をかかないあたしの額から胸から、びっしょり伝ってくるくらいの汗に気づいた。
怖かった。
このまま、何も見えないままになったら、どうしようと思った。
助けて。お願い、助けて!
何度も、心の中で叫んだ。
そして、あたしが真っ暗な闇の中で、一番先に助けを求めて、思い出したのは。
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