サラのシャンプーとコンディショナーとボディソープが安かった。
だから、あいつんち用に、お買い上げ。
あと。
あたしの基礎化粧品。
あいつのMDの前に、普通においてある。
こうして。
あたしの空間が。
彼の空間に入り込む。
それを、あいつは喜ぶ。
「うちのはさみが無いんだけど、知らない?」
彼から電話。
「多分、あそこの二番目の引き出しじゃないの?」
あたしが答える。
嬉しそうだった。
もう、りりかさんはお客様じゃないね。
だって、俺の家の中で、俺の分からないことも知ってるから。
あたし。
切なくなる。
悲しくなる。
嬉しさもある。
あいつが。
「りりかさんのマグカップと。歯ブラシを買います」
と言った。
「なんだか、同棲みたいだね。誰かきたらどうするの?」
「気にしない。半同棲だもん。すでにね」
胸が。
凄く、凄く痛んだ。
胸の痛みは。
切なさが8割で。嬉しさが2割。
あたしの、あいつの。
二人の空間が出来上がって行くのを。
あたしは、うつろな表情で見ている。
これでいいの?
結果的に、あたしが、あいつが、傷つく事になるんじゃないの?
何度も聞いて見る。
あたしの気持ちに。
でも。
あいつの。
無邪気な笑顔を見ていたら。
そんなことどうでもよくなった。
今。
あいつが、あたしと一緒の空間を作りたがっているのなら。
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