朝から具合は悪かった。基礎体温を布団の中で計っているときに、 あいつからのメールが来た。 「体温。計るの忘れないように。仕事も頑張って下さい」 はいはい・・・体温をメモって起き上がろうとしたとき、めまいがした。 まずいな・・・そう思ったけど、支度して仕事に出かけた。 なんとか仕事場にはついたものの、気持ち悪くて立つのも嫌だ。 代わりが見つかったので、そのまま帰ってきた。
家についたら、彼からメール。 大丈夫?具合は?こんなときに何も出来なくてすいません。 別に、なんかして欲しいなんて思って無いよ。 こんなやりとりして、あたしは睡眠に入った。 いらいらしてた。 起きてから、あいつのメールが何通か来てたけど、「大丈夫ですか?あまり嫌な事は考えないで、ゆっくり眠ればすぐによくなりますよ」とか「薬にばかり頼らないで、本当に眠れなかったら、俺の所に来ればいいし」とか。 全部になぜかいらいらした。 前向きなあいつのメールが、あたしの事を心配しているあいつのメールが、 何だかうざったかった。 あたしのつらさなんか分からないくせに、判ったような事言うな!!って あたしはムカッとして「平気です。構わないでください」 とメールしちゃって。折り返しあいつから電話が来た。 「何言っているんですか。けんか腰になっちゃってー」 最初は笑いながらあたしのやつ当たりを聞いてたあいつも、あたしの、 「うるさい!心配されたくないの!しないで!嫌なの!!!だいたい、あたしがこんなに具合悪くなっているのだって、誰のせいなんだよ。ね!!?」 と言う言葉にカチンと来たようだ。当たり前だ。 「そうですか。わかりました、じゃ、お大事に」 それきり、電話もメールも無く。あたしは、なんでだろう、あいつにこんなやつ当たりして。あたしは、本当に嫌なやつだ。 このまま、メールも電話も無くなったら、あたしたちはおしまいだな。 そしたら、生理は来るのかな。それできたとしても、あたしは一生後悔するんだろうな。と思っているんだけど、素直に謝りのメールなんか出来ないでいる。
今さっき、あいつからメールが来た。 「本当に大丈夫ですか?平気・・・じゃないですよね」
あたしは、あいつにひどいこと、いっぱい言ったりしたり。 山ほどしているのに、あいつは。 あたしをこんなに思ってくれている。あたしなんかを。
あたしは、堂々と家族や友達の前で、あいつが好きだから、あいつと一緒にいたい!なんていえないわけで。 でも、あいつは、そんなあたしでも、100%の愛情で包んでくれる。 そこに甘えてしまうあたしは。 だめだなぁと思ったりもするけど。 居心地のよさに、つい、全身を任せてしまう。
あたしたちの関係は。きっと、きっと、普通の人には分かりかねる。 バカみたいな恋愛ごっこだ。 あたしがもっと大人になって、あいつの幸せを考えて見て、あいつのために、あたしの家族のために、切るところを切らなきゃイケないのは百も承知だ。 でも、あたしは。切れない。 あいつの幸せのため。今の。今現在のあたしたちの幸せのために。 あたしは。あいつの事が好きで、あいつもあたしが好きで。 その現実だけを見つめて。分かってくれない人には分かってもらえなくてもいいとか。考えちゃうけど。
たまーに。あたしの自己満足なのかもしれないと考える。 その自己満足は、周りを傷つけて、一番大切な人やものも傷つけて。
明日、だんなが出張から帰ってくる。あたしは笑顔で迎えるんだろうか。 あいつの事を思い浮かべながら、抱きしめてもらうんだろうか。
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