夜中になって、酒もだいぶ回ってきて、二人でだらだら話したり、いちゃいちゃしたり。 あたしは、耳が弱い。 内緒話とかだめだ。くすぐったいんだもん。
あいつはそれを知っている。けど、耳を触りたがる。 あたしが耳を嫌がるのは、くすぐったいからじゃないですよ、きっとそこは性感帯なんですよ、だんだんくすぐったいからよくなるはずです!とかいつも言い切る。かもね、と、あたしだって思うけど、でも、最初のくすぐったいと言う衝動には勝てない。あたしは不感症だ。耳以外はあまりくすぐったくもないし、感じる場所も無い。だから、セックスに興味が持てないのかもしれない。
今日も、また耳をやっぱり触るので、あたしはあいつの弱い、わき腹をくすぐりまくった。謝っても許さないで、上に乗っておさえつけてまで。 そしたら、反撃に出たあいつが、あたしの上に乗ってきて、みみを噛んだりする。最初はあたしも笑って逃げようとしてたんだけど、あいつはいつもと違った。 すごく大真面目な顔であたしの顔を見たりする。 凄くドキドキした。あいつの息が耳にかかるたび、あいつの呼吸が少しづつ速くなっているのが分かったとき、心臓が早さについて行けないんじゃないかと思うくらいにドキドキした。 力が抜けるような、でも入れてなきゃ行けないような、変な感覚になってきた。くすぐったいを通り越したとき・・・あいつがよく言ってたことってこれなのかもしれないな、とボーっとしながら考えていたとき、 あいつの手があたしの腰に回ったのに気がついた。 でも、振りほどけない。なんだか、どうでもよくなっちゃったと言うか、どうにでもしてと言うか。 だめだめ、だめだってば、止めなきゃ!という冷静なあたしが信号を出していたりもする。どうしよう・・・このままつき進んじゃっていいのかな、やっぱりやめとかなきゃなのかな・・・
「ここまでね。あとは、あなたからのOKを頂いたら」 頭をなでていつもみたいに笑う。あたしは、なんだか、がっかりしたような、ホッとしたような。 「あなたがOKサインを出してくれたら、俺は見逃しませんよー。そのOKサインはどうしようかなーって言う程度ではなくて、俺になら、俺とならってOKしてくれた場合です」 あいつは凄く我慢しているんだなと、今更実感した。 ごめんね。弱虫で。
|