おととい、バイト先の男の子にいわれたことが、ずっとずっと引っかかってた。 だから、帰りがけ休憩室でバイト先の主婦(この人にはお互いいろいろと話し合っている仲なので)と話しているとき、「私が切らなきゃならないのかなぁ?」 と、つい口走ってしまった。 もちろん、あいつにも聞かれてしまった。 「誰が何を切るんですか?」 いつもの無邪気な笑顔はそこに無く、真剣にあたしを見る彼の目があった。 あたしは、しまった!と言う気持ちよりも、いい機会かもしれないと言う思いがあった。第三者もいることだしと。
「あたしたちに未来は無いと思うから。未来の事を考えたら、きっとあたしたちはまだ始まったばかりの今、終わったほうがいいのかもしれない。傷が浅いうちにね」 「はぁ!?」 驚くのも当たり前だろう。 まだ始まって3日だ。何なんだ、と思うだろう。
「それは、本心ですか?」 「本心・・・と言うより、きみのためだよ。」 「逃げているんじゃなくて?怖くて。先が見えないのが」
そうかもしれない。彼のためだと自分に言い聞かせているけど、 もし家族にばれたときのリスクとかを考えて、 怖いのかもしれない。
なんだか、ぐちゃぐちゃ同じことの言い合いになって、あたしは帰ってきた。結局答えは出ないまま。
夜、彼から電話があった。凄く酔っているのが、話し方で分かった。
「俺は嫌ですよ。待って待って、ずっと手の届かない存在だと でも思い続けたいとがんばって。やっと手に入ったのかと思ったとたんに 失くすなんて。未来はありますよ、見えないって言うけど。ありますよ。 俺には、あなたと一緒にいることが、1時間でも1分でも未来なんですから。そんな未来を続けたいんですよ」
そのまま、電話は切られた。一方的に話したいだけ話して。 あたしは、久しぶりにだんなと一緒に寝て見た。 「抱きしめて欲しい。安心できるくらいに強く」 「何言ってるんだよ。疲れているんだよ。」 「どうしても、お願い」 おざなりに、抱きしめられただけだけど、なんだか少し安心出来たような気がした。でも、それは、あいつに抱きしめられていると思い浮かべている自分がいた。
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