浪漫のカケラもありゃしねえっ!
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2006年10月03日(火) F1中国GPが終わり、次は鈴鹿

兄さん、ミハエル兄さん。
上海のレースがスタートし。
やるせない痛みと悲しみに襲われ。
なんという、せつなさだろう。
そう思って見始めたレースだったのに。

予選6位となったあなたを、雨は苦しめるだろうと思っていたのに。
またあなたは、なんという逆転劇を見せてくれたのか。

これほど心臓の痛む思いは、かつてミカとのタイトル争いで感じて以来。

おそろしいほどに速かったミカ。
フェラーリのマシンが、マクラーレンに追いつくことがあるだろうかと。
絶望的な差に、キリキリと胸が痛んだ。
それでもあきらめず、ひたむきに追い続けていったあなたを、好きになったんだ。

追いつけない悔しさの中に突き落とされ。
プレスの批判に、憤りを覚え。
その中で、希望を作り出していく。
目くるめくような歓喜を与えてくれる。
そんなあなたを、好きになったんだ。

ミカとの息づまるような予選争い。
鈴鹿の地で。
ミカがタイムを縮めたのをモニターで見つめ。
手強いライバルの存在に、喜びを覚えたか。
その目元が、かすかに微笑んでいた。
そして、走り出したあなたは、再びタイムを縮めてみせた。
そんなあなたの姿に感じた、しびれるような戦慄。

あなたは、戦いを、誰より楽しんでいる。

ああ、引退を口にしたのに。
今のあなたは、楽しそうだ。
なんという、美しい笑顔。
心から勝利を喜び、心からレースを楽しみ。
これほど楽しいものはないと。
そんな顔で笑ってみせる。

あなたの走る1周1周が、最後の戦いを刻んでいく。
どの1周も、あなたのかけがえのない時を刻んでいく。

その最後のシーズンに。
これほど拮抗した激しい戦いを見つめることは。
安らぐことを許されない、苦しみなのか。
このうえない、喜びなのか。

胸をかきむしるような悲しみと。
喪失の痛みと。
絶望と、涙と。
くるおしい歓喜と。
こみあげる愛しさと。

そのすべてを与えてくれた人。

愛しい人。

会いに行きます。

鈴鹿へ。


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