浪漫のカケラもありゃしねえっ!
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2006年04月21日(金) |
架空オープニング習作 |
『悪名』
おまえに情熱は残っているか。 頂上へ、さらに高みへと、 おまえを突き動かし、 おまえを導いてきた。 あの熱い血は、今も燃えているのか。
おまえに夢は残っているか。 飢え渇き、熱望し、 おまえが見つめ続け、 おまえの求めてやまなかった、 約束の地。
煮えたぎるような渇望の果て、 おまえの手からすり抜けていった名誉。 おまえはそれを取り戻そうと、 今日も戦い続けているのか。
気の遠くなるような、長い道を。
おまえの切り開いた道の鋭さゆえに、 おまえの渇望の激しさゆえに、 おまえの人生につきまとってきた、 耳をおおうような悪名。
人々は囁く。 鋭く容赦ないおまえを。 おまえの言葉に含まれていた毒を。 おまえの愚かしいまでの激しさを。
おまえはひとり立つ。 悪名の中に。
人々は気づかない。 その堅い鎧の中に、 脆く傷つきやすいおまえがいることを。 おまえが彼らの囁きに、 どれほど傷つけられてきたかを。
それでも、 おまえは見つめ続ける。 ただまっすぐに。 おまえの求め続けるもの。 ただそれだけを。
幾千の口がおまえを嘲笑い、 幾万の目がおまえを冷たく眺めようと、 おまえが作り出してきたもの、 築き上げてきた名誉を、 誰も汚すことはできない。
おまえに牙は残っている。 おまえの道を妨げるものを、 噛み破る鋭い牙。
悪名に彩られし者。 地上に君臨する美しき獣。
人々の悪罵を踏みしだき、 まっすぐに進むがいい。
狩りの時は迫っている。
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